2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07985
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原瀬 晋 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 擬似乱数 / モンテカルロ法 / 準モンテカルロ法 / 数値積分 / 一様分布論 / 格子 |
Research Abstract |
多重積分の数値計算法として、(擬似)乱数列を用いたモンテカルロ法が知られているが、収束が非常に遅い問題点を持つ。そこで、より強い一様性を有した点集合に置き換えて高速化を図る準モンテカルロ法が用いられてきた。平成25年度は、主に、準モンテカルロ点集合に関する以下の研究成果を得た。 1. 最近、松本-斎藤-Matobaにより、準モンテカルロ点集合の評価指標WAFOMが提案された。WAFOMは高速計算可能であるため、ランダムサーチにより点集合を探索する方針が可能となる。松本氏らにより探索された点集合の例では予め点数が固定される。そこで、本研究では、生成行列の列ベクトルを帰納的に選ぶことにより、前の点を維持したまま点を増やせる拡張可能性を有する点集合を探索した。また、参照テーブルを用いたWAFOM計算の高速化を検討した。これらを論文としてまとめ、投稿中である(原瀬-大堀共著、arXiv : 1309. 7828)。 2. WAFOMのみを指標として用いて点集合を探索した場合、滑らかな関数に対しては高次収束する一方、滑らかでない関数に対しては古典的な指標である(t, m, s)-netに基づく準モンテカルロ点集合の方が優れている傾向にあることが分かった。そこで、両者の利点を併せ持つ点集合を探索したい。このために、予め、t-値の小さいdigital (t, m, s)-netを準備しておき、線形スクランブルを用いて点集合をシャッフルすることにより、t-値もWAFOMも小さい点集合を探索する実験を行った。その結果、滑らかな関数に対しては高次収束し、滑らかでない関数に対しても頑健な点集合が得られた。この結果は平成26年4月の国際会議MCQMC2014にて発表予定であり、現在、論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度から準モンテカルロ点集合に関する研究を本格的に開始し、滑らかな関数に対して高次収束を可能にする準モンテカル白点集合が具体的に得られた。また、東京大学大学院数理科学研究科にて週1回ペースで応用代数セミナーを行い、活発な研究討議の下、準モンテカルロ法に関する知見を深めることが出来た。本研究課題は順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究課題の最終年度に当たるため、研究成果のまとめを行う。まず、平成26年4月にベルギーで開催されるモンテカルロ法準モンテカルロ法国際会議MCQMC2014にて成果発表を行い、合わせて論文の完成を目指す。次に、現在、主にGenz関数で行っている数値実験をより具体的な問題、特に、数理ファイナンスで現れる数値積分へ応用をしたい。このため、アジアンオプションなどのプログラムを作成した。これらを用いて、格子最短ベクトルにより評価した格子則および短い周期の擬似乱数発生法、キューバチャー法など、他の手法と比較検討を行う予定である。
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Research Products
(8 results)