2012 Fiscal Year Annual Research Report
BIMと数値解析を援用した都市温熱環境最適設計手法の開発に関する研究
Project/Area Number |
12J08008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 鍾衍 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市設計 / 最適化 / 風通し / CFD |
Research Abstract |
1.風通しに関する形状の影響のパラメトリックスタディ(1):市街地内のある敷地に単体あるいは2棟の直方体建物が建てられる状況を想定し、CFD解析を用いた多様な建物形状に対する風通しのパラメトリックスタディを行い、建物形状の幾何学的なパラメータと実際の風通しの相関性について検討した。建蔽率、高さ方向のグロス建蔽率、見付け面積、隣棟間隔、建物高さのばらつきの値が形状の幾何学的なパラメータとして用いられた。見付け面積と隣棟間隔、建物高さのばらつきと高さ方向のグロス建蔽率の間には多重共線性の問題があり、各変数の独立性を害しないように指標を改善する必要があった。 2.風通しに関する形状の影響のパラメトリックスタディ(2)、GISデータを用いた街区形状パラメータの空間分布分析、各パラメータの空間分布に対する相関分析:実街区を対象とし、様々な街区形状パラメータの空間分布を算出し、それらの相互独立性について検討を行なった。また同時に、同じ領域に対するCFD解析を行い、各パラメータのもつ街区風環境のパラメタリゼーションへの導入可能性検討に関する参考データを取得した。形状の幾何学的なパラメータとしては、4.2に用いられたものに粗度長とゼロ面変位を加えた。パラメータの相互独立性分析により街区の水平方向の規模に関するパラメータのうち1つ・街区の鉛直方向の規模に関するパラメータのうち1つ・建物高さのばらつき、以上の3つのパラメータの組み合わせでより合理的な採点基準が作成可能である判断した。また、CFD解析を用いた形状のパラメトリックスタディを行い、水平方向の規模に関するパラメータとしては高さ方向のグロス建蔽率、鉛直方向の規模に関するパラメータとしては粗度長を使用することが良策になると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した1年目の計画は、(1)年間風向変化を考慮した確率的なアブローチの検討、(2)指標改善フローの実市街地への適用、以上の2つであった。しかし、現在、(3)改善指標を目的関数とする多目的最適化の計算の結果もある程度まとまっており、次年度は主に市街地模型による風洞実験(最適設計手法の有効性検証)に集中できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
市街地模型による風洞実験(最適設計手法の有効性検証):これまでの結果である任意の敷地における最適配置案が、探索空間に存在する配置案より実際に熱の排出効率が高いかを検証する必要があると考えられる。最適設計案組と探索空間に存在する設計案組のうち1つずつの配置案を対象として、風洞模型の流入風向角のパターンをいくつか検討する。実験によって温度及び速度の空間分布を測定し、熱排出効率を算出する。また、熱発生終了を実現させ、空間内の各点での排出の時間を取得する。変動する流れ場にあっては一回の実現のばらつきが大きいため、同一条件で少なくとも30回程度の測定を行い平均的な排出の時間と、その分散を取得する。これは各配置案の熱排出効率を示す数値であると言え、これらのプロセスを通じて提案された最適設計手法の有効性を検証できると考えられる。
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Research Products
(8 results)