2012 Fiscal Year Annual Research Report
地理情報システムを用いた近代日本の河川舟運に関する歴史地理学的研究
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12J08026
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
飯塚 隆藤 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 河川舟運 / 地理情報システム(GIS) / 歴史GIS / 近代日本 |
Research Abstract |
平成24年度は、以下の3つの課題に取り組んだ。そのうち、(1)(2)の成果の一部を交通史学会シンポジウムで、(3)の成果を人文地理学会や研究会において発表した。 (1)「近代日本の河川舟運GISデータベース」の構築 近代期の統計資料と旧版地形図をデジタル化し、「近代日本の河川舟運GISデータベース」を構築をおこなった。具体的には、『徴発物件一覧表』や『府県統計書』などの近代期の統計資料をデータ化するとともに、それらに対応する旧版地形図をもとに近代期の河川や河岸(船着場)、船舶数、物資量、鉄道などをGISデータ化した。 (2)「歴史GIS」の手法を用いた河川舟運研究の検討 従来の河川舟運研究では、一つの河川や河岸を対象としたミクロスケールでの研究が盛んにおこなわれてきた。その理由として、河川舟運は物資を取り扱うや河岸や人々、河岸間の物資輸送など内容が多岐にわたるため、把握することが難しかった。そこで近年注目されている「歴史GIS」の手法を用いて、地域レベル(流域単位:マクロスケール)での河川舟運研究の検討をおこなった。具体的には、淀川流域と利根川流域、木曽三川流域を対象とした。 (3)近代日本の河川舟運と英国の河川・運河網における舟運との比較研究 近代日本の河川舟運を海外の舟運と比較検討するために、英国の河川・運河網における舟運を調査した。英国は日本と同様、産業革命以降の鉄道開通や陸上交通の発達によって舟運が衰退したものの、ロンドンの中心部においても1950年代まで舟運が続いていることが明らかになった。今後、その衰退過程について日英比較する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は「近代日本の河川舟運GISデータベース」の構築に大幅に時間を要したため、研究成果として査読付きの学術誌への投稿受理に至らなかった。平成25年度には、これまで進めてきた研究成果を積極的に学会誌に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から進めてきた研究成果は、今年度中に積極的に査読付きの学会誌に投稿していきたい。また、博士論文の執筆にむけて、「歴史GIS」の手法を用いた河川舟運研究の確立を図りたい。そして、「近代日本の河川舟運GISデータベース」が今後の河川舟運研究において最大限活かせるように、メタデータの整備などもおこなう予定である。
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Research Products
(6 results)