2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規な単一ニューロンの活動記録・染色法を用いた大脳基底核機能の解明
Project/Area Number |
12J08027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 佳 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電気穿孔法 / プラスミド / 単一神経細胞記録法 / 行動神経生理学 |
Research Abstract |
当該年度はまず、前年度末に投稿を行った論文(電気穿孔法を用いてGFPなどの標識物質をコードしている遺伝子を含むプラスミドを注入することによる新規なニューロン標識法の実用化に関する論文)に関する追加実験を含む、改訂作業を行った。それにより、下記の通り、Journal of Neuroscience Methods誌に掲載された(Oyama et al., 2013)。現在、本技術を基にした、他の複数の研究室との共同研究が進行中である。 それと並行し、行動中の動物からの記録・染色実験に着手した。これまで、運動の実行や抑制にそれぞれかかわっていると考えられる活動を示すニューロンを線条体において見出し、それらに対し、プラスミドの注入を行う実験を進めている。また、併せて、運動の実行・抑制に同じく深いかかわりがあると考えられている前頭連合野においても、同様の課題を遂行中のラットにおいて、記録・染色実験を行っているところである。 また、記録・染色を行ったニューロンにおける、遺伝子発現の網羅的な解析を行うための予備実験を開始したところである。これは、本研究の実施計画にも記載していたような、従来の少数の個々の遺伝子の発現のみを調べる方法に比べ、はるかに多くの細胞内物質の発現状況を調べることができると期待できるものであり、本研究で確立した技術と非常に親和性が高い技術である。これらの新規な技術を組み合わせることにより、個々の神経細胞の活動と細胞内タンパク質の発現状況との関係をより詳細に明らかにすることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に公刊論文にて発表した技術(プラスミド注入による染色法)は、当初想定していたものよりも、より有用な技術であることが示された。具体的には、本技術を用いることによって神経細胞の細胞体のみが染まることを想定していたものの、実際にはその軸索末端まで染めることが可能であった。これにより、本技術は、記録を行った細胞の組織化学的な特徴のみならず、その投射部位といった、形態学的特徴を調べるうえで非常に有用なツールとなる可能性があると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当該年度に確立した手法を用いて、行動中の動物からの記録・染色実験を行っていく予定である。現在、比較的単純な課題を動物に訓練し、その動物から記録・染色を行っているところである。また、本研究課題における、大脳基底核・線条体の細胞を対象にした実験のみならず、大脳基底核とつながりの深い、前頭連合野の細胞からの記録・染色も同様の行動課題を遂行中の動物において行っているところである。それにより、大脳基底核のみならず、前頭葉における行動・運動の発現、および抑制に関わるメカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(3 results)