2012 Fiscal Year Annual Research Report
単一光子発生の制御を目指した金属-量子ドットナノ構造体の創製
Project/Area Number |
12J08034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内貴 博之 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単一光子発生 / 量子ドット / 表面プラズモン共鳴 / 金属ナノ粒子 |
Research Abstract |
金ナノ粒子はポリオール法により、銀ナノ粒子はアスコルビン酸による還元法を用いて作製した。次に、テトラエトキシシランを用いたゾル・ゲル法により、5種類の異なる膜厚を有する金属/シリカナノ粒子を作製した。さらに、金属/シリカナノ粒子にCdSe/ZnSのQDを吸着させるため、シェル表面をアミノシランカップリング剤で修飾した。その後、極低濃度のQDを加えることで、平均的に金属/シリカナノ粒子とQDの1:1複合構造体を作製した。作製した金/シリカナノ粒子は金コア粒径を43nm、シェル膜厚を6~35nmの間で作製し、粒径と膜厚の単分散性(以下、CV値)を20%以下で制御することに成功した。さらに、銀/シリカナノ粒子は、その銀コア粒径を54nm、シェル膜厚を7nm~38nmの間で制御し、これらのCV値も10%以下と、金/シリカナノ粒子と同じサイズ領域で、かつ精緻な銀/シリカナノ粒子の作製に成功した。 金/シリカ-QDは、単一QDの発光挙動と比較して、約4倍の蛍光強度の増加を示した。光子相関ヒストグラムは、遅延時間ゼロのピークが高い、つまり単一光子発生を示し難くなった。このように、金ナノ粒子のLSPRと相互作用することで、QDの単一光子発生確率はむしろ低下し、また膜厚が29nmのとき、最も低下することもわかった。一方、銀/シリカ-QDも、金ナノ粒子と同様に、約3.5倍の蛍光強度の増加を示した。しかし、この光子相関ヒストグラムは遅延時間ゼロのピークが非常に低い、つまり単一光子発生を示しやすくなった。このように、銀ナノ粒子のLSPRと相互作用することで、QDの単一光子発生確率は増加し、また膜厚が31nmのとき、最も増加することもわかった。 このように、LSPR効果の発現モデルとなる金属/シリカ-QD複合体からLSPR効果と単一光子発生との相関を世界に先駆けて詳細に解明し、また銀ナノ粒子を用いることで高発光性の単一光子源として、実用可能であることを実証することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単一分子分光測定を繰り返すことで、数十個の金属/シリカ-QDから得られた単一光子発生挙動を詳細に解析することで、プラズモンと単一光子発生とのナノ構造相関を具体的に解明する事に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、金属/シリカナノ粒子とQDの1:1複合構造体を作製するにあたり、低い確率の自己組織化に頼らざるを得なかった。そのため、金属/シリカ-QDから得られた単一光子発生挙動を数多くのデータを得ることが非常に困難であった。 今後は、高確率に1:1の金属/シリカ-QDが得られる材料設計や作製条件の模索を行う。具体的には、近年のナノ粒子から構成される超格子構造体のコロイド化学的な設計技術を利用することで、大多数の1:1の金属/シリカ-QDを作製する。
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Research Products
(7 results)