2012 Fiscal Year Annual Research Report
LATS1を介する分裂制御異常に基づく卵巣癌発生機序の解明と治療戦略の考案
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12J08096
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千代田 達幸 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA損傷 / チェックポイント / ホスファターゼ / 卵巣癌 |
Research Abstract |
平成24年度はLATS1によるMYPT1制御機構の解明を実験計画として研究を行った。変異体を用いた解析により、LATS1はMYPT1のS(セリン)445,S473,S507,T(スレオニン)508,S509の5か所をリン酸化することがわかった。次にLATS1によるリン酸化がMYPT1に及ぼす影響を検討した。 MYPT1はG2-分裂期移行に主要な役割を果たすPLK1(polo-1ike kinase1)を脱リン酸化して抑制することが近年報告されていた(Yamashiro S et al.Dev Cell 2006)。LATS1ノックダウンによりPLK1活性化の指標であるT210のリン酸化は上昇した。LATS1ノックアウトマウス由来線維芽細胞は野生型細胞に比べPLK1のT210リン酸化が上昇しており、野生型LATS1を戻し発現させることによりT210リン酸化は低下することを示した。よって、LATS1によるMYPT1のリン酸化はその活性化に働くことがわかった。なかでもS445のリン酸化がMYPT1の活性化に重要であることが判明した。PLK1はG2 DNA損傷チェックポイントの維持に重要な役割を果たすことから、同チェックポイントにLATS1-MYPT1経路が関わる可能性が想起された。予想通り、G2 DNA損傷チェックポイントはLATS1ノックダウン下においては充分に機能せず、MYPT1 S445D活性型変異体においてはよく機能した。 これから、DNA損傷時にLATS1が活性化し、MYPT1のS445リン酸化を通じてPLK1を不活性化する機構が明らかとなった。この研究により、LATS1がG2 DNA損傷チェックポイントを介してゲノム恒常性を保つ機構が明らかにされた。 当該研究による成果はThe Joumal of Cell Biology誌に発表された(Chiyoda T et al.,J Cell Biol 2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.LATS1によるMYPT1制御機構の解明と2.LATS1欠損に伴う卵巣腫瘍形成機構の解明を平成24年度の計画としていた。1に関してはJ Cell Biol誌に発表し、米国癌学会(AACR)2013年年次総会においてScholar in training awardを受賞した。2に関しては未だ中途であるものの解析は1頂調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の平成25年度の計画通り、今後は卵巣癌においてLATS1の機能低下に伴うPLK1の活性化が実際に起きているか検証し、PLK阻害剤の治療効果を検証する。また、平成24年度の研究課程において、LATS1の新たな基質を見出すことができたため、そちらについても解析を行う予定としている。
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Research Products
(4 results)