2013 Fiscal Year Annual Research Report
LATS1を介する分裂制御異常に基づく卵巣癌発生機序の解明と治療戦略の考案
Project/Area Number |
12J08096
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千代田 達幸 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞骨格 / 腫瘍抑制因子 / Hippo経路 / 癌化 |
Research Abstract |
平成24年度において研究が予定よりはやく進行し、LATS1がDNA損傷に応じて活性化し、MYPT1を介してG2期から M 期への移行に関わるPLK1,を抑制することを明らかにした(Chiyoda T et al, J Cell Biol 2012)。そのためLATS1不活性化に伴い、DNAが不完全な状態でもM期に細胞が入ることが異数体化を通じた癌化に関与していることが考えられた。 順調に研究が遂行されたため、その後プロテオミクスで同じく同定された基質であるmoesinとLATS1の関係について機能解析を行った。moesinは細胞膜脂質と細胞骨格を構成するアクチンをつなぐリンカーとして働く分子であり、moesinの高発現はグリオーマなどの癌腫において悪性化と一致していることが報告されている。また近年、LATSlのショウジョウバエにおけるホモログである WTSのノックアウトの個体においては皮質のアクチンが増加していることが示された。Hippo Pathwayは接触阻止に働くように外界からの物理的なシグナルを感知し、核内に伝える経路であるため、moesin、LATSlと細胞骨格の関わりが重要であると考えた。moesinは両端が会合することにより大部分は細胞質内で不活性化しているが、細胞膜のリン脂質と結合し C端がリン酸化されることにより開いた形となり、アクチンと細胞膜を結合させる作用を持つ。我々はLATS1が現在まで報告のないmoesinのN端をリン酸化することを見出した。そしてリン酸化されたN端はC端との結合がよりおきやすくなることがわかった。即ちLATSlはmoesinをリン酸化することにより不活性化させることが明らかとなり、Hippo Pathwayにフィードバックの機構が存在することが示唆された。今後論文投稿の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(2 results)