2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 淳 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 触媒反応ネットワーク / 栄養律速 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に触媒増殖反応ネットワーク系において分子複製に必須な栄養資源が枯渇・競合している状況での振る舞いについて研究を進めた.これまで先行研究において,多種類の分子種がランダムな触媒・基質関係をネットワーク状に構成しながら複製・増殖する化学反応モデルを用いて,確率的でエラーの生じる“いい加減な”化学反応系からいかに化学成分・組成を一定に保持しながら再帰的に増殖できる細胞が生じるかなどが議論されてきた.しかし,そのような分子集団が再帰的に増殖する状況では少数種のみが生き残り、多様な分子組成が失われる傾向があることが知られており、いかに細胞が多様な組成を安定に保持出来るのかという疑問には答えられてこなかった. そのような背景のもと,複製の際に必須な栄養資源を陽に取り入れたモデルを提案し、それらが枯渇・競合した状況では細胞の多様性が転移的に増す振る舞いを見せることを発見した. 各細胞レベルで栄養資源が枯渇すると、より少数の構成分子間の反応経路を選択し成長する領域から、より多くの構成分子間の反応経路を用いて成長する領域へと資源の枯渇具合に応じて転移的に変化することを力学系モデルによって説明し、資源の枯渇具合に応じた分子種の増加の仕方について解析的な結果を導いた。また、細胞間で栄養資源が競合する効果を導入すると、各細胞の構成分子の多様化に加えて、相互に触媒関係を構成する異なる分子種の組から成る細胞(細胞タイプの多様化)が共存し、100世代程度の分裂世代にわたって似た化学分子種構成の細胞が増殖する様子が見られた. この結果は複雑な機構を持ち合わせた化学反応系でなくとも、資源が枯渇・競合した状況下では再帰的な増殖を続けながら多様性を増す様子が普遍的に見られることを示唆する結果である.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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