2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08178
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
羽生田 圭 東京理科大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Bリンパ球 / アレルギー / IgE産生 / 免疫学 / 胚中心 / 免疫記憶 |
Research Abstract |
抗原を認識したIgM/D陽性の成熟B細胞は、T細胞のヘルプを受けて活性化、増殖して胚中心を形成する。胚中心のB細胞では、抗原受容体(BCR)のIgGへのクラススイッチが誘導されるとともに、記憶B細胞や長期生存プラズマ細胞と呼ばれる二種類の記憶細胞への分化が起こる。一方で、IgE陽性の記憶細胞が存在するのかは明らかになっていない。多くのアレルギー患者ではIgE型の免疫記憶が過形成されていると考えられているが、その実体は不明である。本研究では、IgE陽性B細胞の特性および活性化制御機構の解明を目的として研究を進めた。 T細胞依存性抗原を野生型マウスに免疫したところ、IgE陽性の胚中心B細胞は一過性に出現するが維持されず、長期生存プラズマ細胞や記憶B細胞もほとんど誘導されない事が明らかになった。IL-4を用いた培養によって誘導したIgG1およびIgE陽性B細胞を比較すると、IgE陽性B細胞は恒常的に短命なプラズマ細胞へと分化し、マウスの体内に維持されない事が判明した。IgG型およびIgE型BCRを、内在性B℃Rを欠損させたB細胞に導入したところ、IgE型BCRはリガンド非依存的にプラズマ細胞への分化を促進した。さらに、リガンド非依存なIgE型BCRシグナルはPI3K-Akt経路を活性化させることで、転写因子Pax5の発現低下およびIRF4の発現上昇を誘導し、プラズマ細胞分化を促進する事が明らかとなった。 以上より、IgE型BCRはIgGとは異なる恒常的なシグナルを伝えることによって、B細胞の短命化を誘導して記憶細胞への分化を抑制する。すなわち、IgE型BCRシグナルはB細胞内因的に過剰なIgE抗体の産生を抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IgE陽性B細胞の分化・活性化制御機構が明らかになりつつあるが、分子メカニズムの解明にはさらに詳細な解析が必要なため。
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Strategy for Future Research Activity |
下記の項目を推進し、IgE陽性B細胞の特性および活性化制御機構の解明を目指す。 1.IgE型BCRにおける細胞短命化誘導の責任領域の同定。 2.IgE型BCRの恒常的シグナルを誘導するメカニズムの解明。 2.IgE型BCRによるプラズマ細胞分化誘導機構の解明。
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Research Products
(4 results)