2012 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病と睡眠障害の予防と治療における身体活動・運動の効果に関する研究
Project/Area Number |
12J08193
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武田 典子 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | うつ病 / 睡眠障害 / 身体活動 / 運動 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,うつ病と睡眠障害の予防と治療における身体活動・運動の効果を検討することである.本年度はうつ病患者に対する運動療法の実施可能性と有用性の検討を行った.対象者はうつ病などの精神疾患で休職後,精神神経科クリニックで行われているリワークプログラムに参加して復職を目指す者で,運動療法への参加を希望した24名(男性19名,女性5名)であった.リワークプログラムに週に1回,民間スポーツクラブで行う運動療法を組み入れた.運動内容はグループでの準備運動,整理運動,各自による有酸素運動(トレッドミルもしくは自転車エルゴメーター)と筋力トレーニング(マシンを用いて大筋群を鍛える7種目)であり,有酸素運動20分を含めることを前提に参加者自身が運動内容と強度を決定した.運動時間は1回につきおよそ1時間であった.結果,出席率は半数の者が80%以上,およそ8割の者が60%以上であり,運動療法に対する高いアドビアレンスが示された.参加を中断した者は5名で,リワークプログラムに参加しなくなることに起因する事例が最も多かった.うつ症状(ベック抑うつ尺度)は運動療法開始時に比べて4週間後,8週間後に有意に低下し,症状が中等度から軽度に改善した.しかし個々では改善がみられない事例も存在した.また運動療法により有酸素能力が有意に改善した.本研究により,リワークプログラムに参加するうつ病患者でも有酸素運動や筋力トレーニングが実施可能であり,運動療法がうつ症状の改善に効果のある可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究フィールドである臨床病院との関係性を築くとともに,うつ病リワークプログラムに運動療法を導入し,現場に足を多く運んで運動実施や測定評価の問題について経験を積んだ.これらの礎は次年度以降の研究の大きな力となると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は研究対象者を外来患者にまで広げて調査を行う予定である.研究を遂行するに当たって,ヘルシンキ宣言及び関係する指針である「臨床研究に関する倫理指針」の記載を遵守する.また収集した測定結果や診療情報等の個人情報は,研究対象者に不利益が及ばないよう厳格に管理する.うつ病患者の研究参加における安全性は医師によって判断されるようにして,医師が研究参加の継続が不可能であると判断した場合は速やかに参加中止の措置をとる.
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 地域高齢者の睡眠の質と客観的な身体活動量の関連2012
Author(s)
武田典子, 池永昌弘, 三原里佳子, 松本大葵, 古瀬裕次郎, 山田陽介, 栗山緑, 桧垣靖樹, 田中宏暁, Nakagawa Study Group.
Organizer
第71回日本公衆衛生学会
Place of Presentation
サンルート国際ホテル山口(山口)
Year and Date
2012-10-25
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