2012 Fiscal Year Annual Research Report
極大荷重を受ける構造物の耐震性能評価に資する動的サブストラクチャ振動台実験の構築
Project/Area Number |
12J08205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榎田 竜太 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Minimal Control Synthesis / 入力波同定 / 適応制御 / H∞ / 非線形制御 / 振動台実験 |
Research Abstract |
大規模地震による構造物の応答記録は,耐震構造の研究のみならず,人的被災の軽減や構造物の機能維持に大きく貢献する.しかし,実現象による記録の蓄積は容易ではないため,振動台により地震の揺れを人工的に発生させ,試験体を加振する模擬が行われている.耐震実験では,振動台によって必要な入力波(主には地震動)を精度良く再現することが求められるが,試験体を損傷させるように加振するため,試験体は入力に対して非線形応答を示す.これらの非線形応答は振動台の制御精度を低下させることになるため,これらの非線形応答にも追従する入力波同定の手法が必要である.上記の背景のもと,24年度では,近年考案されたリアルタイム制御を補助するMinimal Control Synthesis(以後,MCS)に基づいて,非線形構造物を対象とした非線形制御手法の構築を試みた. MCSはモデル規範適応型制御を発展させた手法であり,制御対象に対してその理想系である規範モデルを用いることを前提としている.MCSの特徴は,制御対象に用いる制御力が,規範モデルに対する制御力と制御対象で再現された応答に比例ゲインを乗算することによって得られる.この比例ゲインは再現を目標とする応答と制御対象で再現された応答との誤差に基づいて決まることになる.H∞法等の制御理論が制御対象の動特性を必要とすることに対して,MCSは制御対象の動特性を必要しないため,制御対象の線形・非線形を問わず適用できる可能性が高い.本研究では,強非線形性を有する制御対象には時間領域に基づいた手法が適しているという考えのもと,これまで制御対象の線形性に強く拘束されていたリアルタイム制御用のMCSを,強非線形性にも追従できるように無規範モデル化することによって非リアルタイム用の制御手法を提案した.なお,その有効性を振動台実験を通して検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究内容を実施し,それに見合う解析結果や実験結果を得ることができている.さらに,その研究成果を日本建築学会構造系論文集において発表できている.
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Strategy for Future Research Activity |
提案した入力波同定手法は,非線形1質点系構造物に対して高精度に入力波を同定することが可能となる.今後は,多質点系非線形構造物にこの手法を応用し,その有効性の検証が求められる.
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Research Products
(4 results)