2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体医療用コバルト合金における変形誘起マルテンサイト変態支配因子の解明
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12J08210
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 秉洙 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生体材料 / 変形有機マルテンサイト / 積層欠陥エネルギー / 結晶粒の方向依存性 / ウィルキンソン法 / 残留応力計算 / GND密度の計算 / 粒界の密度 |
Research Abstract |
本研究では、生体用Co-Cr-Mo-N合金の塑性変形時に発生する変形有機マルテンサイトの形成に及ぼす結晶粒の大きさと結晶粒の方位の影響を調査し、生体材料の摩耗特性を向上させる条件を明らかにする。まず、今年度は様々な結晶粒の大きさの試料を引張変形して変形有機マルテンサイトの割合を測定した。 結晶粒のサイズが60から80μmの生体用Co-Cr-Mo-N合金の変形有機マルテンサイトの割合が最大で80%であった。一方、50μm以下の結晶粒の大きさと120μm以上の結晶粒の試料では、変形有機マルテンサイトの割合が40%以下であった。特に、変形有機マルテンサイトの割合は、結晶粒界よりも双晶粒界の密度に大きく依存することが分かった。 Wilkinson法を用いて粒界と双晶の周りの転位密度を計算し、各スリップシステムの残留応力を計算した。また、GNDの密度を計算して変形有機マルテンサイトの形成に及ぼす主な因子を調査した。双晶の周りに転位密度が粒界よりも高く、intrinsicとextrinsic積層欠陥を発生することを確認した。 このため、電位の移動方位が既存のShockley Partial DislocationのSchmid法則に関係がなく、自由に部分転位が移動する。その理由は、Co-Cr-Mo-N合金の積層欠陥エネルギーが常温で"負"の値であるからである。 最終的に"負"積層欠陥エネルギーによって部分転位は自由に移動して、その結果、面心立方体のすべてのスリップ面で変形有機マルテンサイトが発生することができる。しかし、低い変形有機マルテンサイトの形成は、結晶粒の方位に依存する。このような変形有機マルテンサイトの結晶粒の方位依存性は、生体材料の耐摩耗性を理解する上で非常に重要な資料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wilkinson法を利用して、生体用Co-Cr-Mo-N合金内に発生する変形有機マルテンサイトの形成機構について研究した。その結果をActa Materialia(Acta Materialia 61(2013)1648-1661)に公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、生体用Co-Cr-Mo-N合金の塑性変形時に発生する変形有機マルテンサイトの形成機構について調査し、生体用Co-Cr-Mo-N合金の摩耗特性の向上の条件を提示するのが目的である。既に、変形有機マルテンサイトの形成と微細組織の関係を究明した。また、粒界よりも粒内の双晶によってマルテンサイトの形成が活性化されることを研究した。 次にPhase-Field法を用いて変形有機マルテンサイトの形成挙動をシミュレーションを通じて分析し、高分解能電子顕微鏡を用いて双晶の周囲の観察を通した生体材料のCo-Cr-Mo-N合金の摩耗性を向上させるために、この技術を使用する。
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