2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ多孔体内部における水の相変化及び輸送に関する量子分子論的研究
Project/Area Number |
12J08214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 啓悟 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子動力学 / 流体力学 / 微細流路 / 液滴 / Laplace圧 |
Research Abstract |
本年度は微細孔における液滴の動的挙動に関する研究を行い, 液滴-壁面間の摩擦係数が微細孔の幅に依存するという、流体力学を用いた連続体モデルとの違いを明らかにした. また, 連続体の式をどのように補正すれば良いことが明らかになった. 本年度の計画では, 微細流路内の液滴の挙動を解析する予定でありその解析を行った. 昨年度と同様の微細流路モデルを用いて, 昨年度に得られた結果に対する詳細な解析を行った. また, 来年度に行う研究の準備として文献の調査やプログラムの開発を行った。以下に本年度に得られた結果を示す. 本研究により, 流路幅が数nm程度まで小さくなると, Laplce圧によってNavierの摩擦係数が増加しNavier-Stokes方程式から導出された式から予測される摩擦力より大きくなる事を明らかにした. また, 表面張力と液滴内部の圧力に関する関係式が5mn以下の系では成り立たなくなることに対して, その理由が流路と液面の間に液滴が存在しない数Åの幅によって流路幅と液滴幅が一致しないからであり, 液滴幅を用いて関係式を定義することで, 計算結果を表すことができることが明らかになった. 本研究によって摩擦係数及びLaplace圧の関係式を補正することで, 微細流路内における液滴の運動を解析する式を得ることができた. 微細流路内における液滴の挙動は明らかになっておらず, 本研究結果は学術的に大変意義のある物であると考えられる. また, 近年微細な構造を有するデバイスの作成が盛んに行われており、微細な空間における液滴の運動に対する関心も高まっており、工学的にも大変有意義な研究結果であるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は解析も順調に進み、論文の執筆も行う事ができた. また, 来年度の研究に対する準備も行えた事から, 計画は順調に進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, これまでの解析をさらに進め, ●接触線近傍における摩擦力の流路幅依存性の解析 ●親水性壁面で構成された微細流路内における液滴挙動の解析 ●高剪断が生じている液滴に対する解析 等を行う予定である. これまでの研究で研究の効率も上がっており, 十分な成果が得られると考えている.
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