2013 Fiscal Year Annual Research Report
GLUTag細胞におけるGLP-1分泌制御機構の解明
Project/Area Number |
12J08221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大屋 愛実 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 開口放出 / イメージング / インクレチン / グルタミン / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
グルカゴン様ペプチド-1 (glucagon-like peptide-1 ; GLP-1)は、小腸内分泌L細胞で産生され、消化管腔内の食物中に含まれる成分に応答して分泌される。しかし、小腸内分泌L細胞がどのように食物中の成分を感受しGLP-1を分泌するのか、その詳細なメカニズムについては、解析があまり進んでいない。 小腸内分泌L細胞モデルであるGLUTag細胞を用いて、遺伝子発現解析を行った。その結果、神経型および血管内皮型一酸化窒素合成酵素の発現を見出した。そこで、様々な物質を細胞に投与し、その際の細胞内一酸化窒素濃度変化を一酸化窒素可視化蛍光プローブによって測定した。その結果、グルタミン投与により細胞内一酸化窒素濃度の緩やかな上昇反応が観察された。また、グルタミンのみ、あるいは、一酸化窒素前駆体のみを細胞に投与すると、細胞内Ca^<2+>濃度上昇が観察された。次に、一酸化窒素合成酵素阻害剤をグルタミンと共投与すると、グルタミン投与によって観察される細胞内Ca^<2+>濃度上昇が抑制された。また、リアノジン受容体阻害剤をグルタミンと共投与すると、グルタミン投与によって観察される細胞内Ca^<2+>濃度上昇が抑制された。これらの結果から、細胞内に取り込まれたグルタミンは、一酸化窒素合成酵素のはたらきによって一酸化窒素に変換される可能性が示唆された。また、一酸化窒素は、小胞体上のリアノジン受容体を活性化し、小胞体からのCa^<2+>放出を引き起こし、細胞内Ca^<2+>濃度上昇を引き起こす可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内に取り込まれたグルタミンが、一酸化窒素合成酵素によって一酸化窒素に変換される可能性、また一酸化窒素がリアノジン受容体を活性化し、小胞体からのCa^<2+>放出を引き起こし、細胞内Ca^<2+>濃度上昇を引き起こす可能性を見出した。これらの結果は、当初の目的に向け研究が概ね順調に進展していることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グルタミン投与時の小腸内分泌L細胞からのGLP-1分泌量をELISA法やバイオイメージング法によって測定を行う。また、一酸化合成酵素阻害剤、一酸化窒素前駆体、そしてリアノジン受容体阻害剤投与時のGLP-1分泌量も測定し、グルタミンによって引き起こされるGLP-1分泌のシグナル伝達経路について解析する予定である。
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Research Products
(5 results)