2012 Fiscal Year Annual Research Report
放射性核種の体内動態を考慮した内部被ばく評価の高度化に関する研究
Project/Area Number |
12J08236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷 幸太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 内部被ばく / 体内動態 / プルトニウム / 体内除染剤 |
Research Abstract |
放射性核種の摂取による内部被ばく評価の正確性の向上に向けて、過去に急性吸入摂取に対する体内動態解析コードを開発し、放射線業務従事者(作業者)を対象としたCs-137の体内動態を明らかにした。本研究では、 実用的な公衆の内部被ばく評価手法および核燃料再処理施設における内部被ばく評価手法の高度化を目指し、 本年度は以下の内容を実施した。 1-これまでの研究で開発した体内動態解析コードを改良し、(1)経口摂取、(2)年齢依存、(3)長期的な摂取の3点に対する体内動態解析を可能とする。 2.過去の内部被ばく事故事例およびその際の評価手法について調査する。 実施内容の詳細を以下に記述する。 〈1.に対して〉 (1)これまでに開発した体内動態解析コード(吸入摂取)に、経口摂取から消化管を経由して便として排泄される経路および小腸から血液へと移行する経路を追加し、経口摂取に対応した。 (2)臓器・組織間の放射性核種の移行速度を表すパラメータについて、その年齢依存を調査し、年齢別の体内動態解析を可能とした。 (3)時間に対する摂取量の関数を入力データとして扱うことで、長期的な摂取に対応した。 〈2.に対して〉 (1)過去のプルトニウムによる体内汚染事故事例を基に、プルトニウム摂取後の尿中排泄量等の個人モニタリングデータを調査した。 (2)特に、体内除染剤投与後の尿中プルトニウムの調査・分析により、排泄促進効果についてまとめた。 (3)プルトニウムの代謝モデルを調査し、プルトニウムの体内動態解析を可能とした。 本年度の成果を利用することにより、放射性化核種の摂取状況に対する体内動態の依存性を明らかにすることができる。また、プルトニウムの体内動態に基づいた事故事例の詳細な解析が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1.実用的な公衆の内部被ばく評価手法の高度化に向けて、体内動態解析コードを改良すること、2.核燃料再処理施設における内部被ばく評価手法の高度化に向けて、過去の事故事例を調査することを目的としており、これらをほぼ完了した。したがって、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、1.実用的な公衆の内部被ばく評価手法の高度化、2.核燃料再処理施設における内部被ばく評価手法の高度化に関する検討を進める。来年度の目的を以下に示す。 〈1.に対して〉 本年度に改良した体内動態解析コードを使用して摂取条件の違いに対する体内動態の依存性を明らかにする。 〈2.に対して〉 プルトニウムの体内動態解析を実施し、それを基に調査した過去のデータに詳細な解析を加える。
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