2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌における比較・機能ゲノミクス研究を基盤とした病原性発現機構解析
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12J08246
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高尾 和実 鳥取大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Alternaria alternata / トマトアルターナリア茎枯病菌 / LaeA / 病原性遺伝子 |
Research Abstract |
LaeA遺伝子は多数の二次代謝産物を制御するグローバルレギュレーターとしてAspergillus nidulansで発見され、Aspergillus属菌においてクロマチンレベルで発現を制御していると考えられている。本遺伝子の変異株を使った解析は複数の病原性関連遺伝子を見出す事に繋がる可能性がある。 本実験では、ナシ黒斑病菌(AK毒素生産菌)およびリンゴ斑点落葉病菌(AM毒素生産菌)といった茎枯病菌以外のA. alternata病原型菌においてLaeAホモログを同定し、機能解析を行うことにより、本遺伝子による病原性制御機構が他の毒素生産菌においても共通であるかを検討した。 シークエンス解析から、これら2病原型菌におけるLaeAホモログの配列を決定し、茎枯病菌も含めた3病原型菌においてアミノ酸配列の比較を行った。その結果、これら3病原型菌のLaeAホモログはアミノ酸の相同性が100%であった。野性株と破壊株の病原性、毒素生産能および形態形成(胞子形成など)などの各種表現型の差異を解析した。その結果、変異株はコロニー形態が変化していた。また、野生株との比較を行ったところ、病原性および毒素生産能が減少していた。 これらの結果から、3病原型菌が持つ同一のLAEAホモログはそれぞれ異なるHSTクラスターを制御していると考えられる。これは、LaeAがAspergillus属菌においてクロマチンレベルで発現を制御していると考えられているということをさらにサポートする結果となった。植物病原菌の病原性発現機構を分子レベルで解明することは、耐病性作物の育種および新規農薬の研究開発や新たな防除法の立案などの活用に繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、Alternaria alternata植物病原菌のうちイチゴ黒斑病菌(AF毒素生産菌)およびリンゴ斑点落葉病菌(AM毒素生産菌)を主な対象として、本菌におけるAaLAEAホモログの機能解析を行った。これら菌のLAEAホモログと茎枯病菌のLAEAホモログのアミノ酸配列が同一であり、CD染色体に座乗する、それぞれのHSTクラスターを制御していることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
A. alternataが保有するLAEAホモログはCD染色体に座乗するHST生合成クラスターの制御を行っていることが3病原型菌で明らかとなった。今後、さらにLAEA遺伝子の制御機構を明らかにするため、茎枯病菌におけるHSTクラスターであるALTクラスターが常染色体に座乗する場合のLAEAの制御について検討する。問題は、100kbあるALTクラスターを常染色体に挿入しなければならないという点である。今後、PCRによって茎枯病菌が保有するALTクラスターを4断片に分けて増幅し、PEG法により非病原性菌に挿入する予定である。
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Research Products
(5 results)