2012 Fiscal Year Annual Research Report
新型ライノウイルス感染による重症呼吸器感染症の疫学とその重症化メカニズム
Project/Area Number |
12J08249
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤 直子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | フィリピン / ライノウイルス / 重症呼吸器疾患 / 疫学 |
Research Abstract |
ライノウイルス感染が呼吸器感染症に与えているインパクトを明かにすることを目的にした疫学調査では計画通り3年分の小児肺炎患者の結果をまとめた。血清型までにわけ地域でどのように流行しているのかを解析した。時間的、地理的要因も考慮して流行を解析するため2012年12月に新潟大にGIS解析に必要な情報、方法について話し合った。これら3年分の解析結果から小児重症呼吸器感染症への寄与率、および熱帯地域(フィリピン)でのウイルス流行の季節性、一地域での流行ダイナミズムを中心に研究した。 熱帯地域では温帯のような明確な季節性はなかった他、多様なウイルスが同時期に流行を維持していることがわかった。 異なる年齢、臨床症状群にて検出されるウイルスを比較し病原性に関わる因子の解明を目的として、成人肺炎、インフルエンザ様症状の患者群との比較を1年以上行った。日本での解析(軽症例)も行ったが、フィリピンの小児重症例にて有意にウイルスが検出される結果となった。また重症化を評価する因子として重症例である小児肺炎患者由来の検体にてウイルスコピー数、KL-6を患者検体にて計測した。HRVCにて有意に高いウイルスコピー数が検出された。 ウイルス学的要因をin vitroでよりヒトの感染に似せる為、新しく正常プライマリーヒト気管支細胞を購入した。Air-Liquid Interfaceにて培養、解析に挑戦している。ライノウイルスには多様な系統が存在している為、比較検討する株を増やす為新しくスクリーニングを行っている。ウイルスの病原性をいかに評価するかの研究に必要な情報を2012年7月に香港に赴き収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年分の疫学の部分については解析を終えており、投稿準備中である。フィリピンにおけるライノウイルスの地理的な分布について地理情報システム(GIS)を用いた新たな方法を用いて解析を行なった。またライノウイルス重症化の要因についてもKL-6の測定など新たなアプローチで検討を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
重症化した群のみでは、重症化因子などははっきりしないため引き続き成人肺炎、軽症例としてのインフルエンザ様症状患者を含め解析し横断的に解析する予定である。 分離困難なライノウイルスCの病態を解明すべくさまざまな方法を精力的に試している。まだ具体的な方法論は確立していないが、これまでの研究結果を基礎として、来年度にはこの研究も飛躍することが期待される。
|
Research Products
(2 results)