2012 Fiscal Year Annual Research Report
正準交換関係に基づく新しいQCD和則の構築と、そのQCD物性への応用
Project/Area Number |
12J08301
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早田 智也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | QCD和則 / ハミルトニアン形式 / BJL極限 |
Research Abstract |
本年度は、真空中のQCD和則、とくにメソンに結合するカレントの和則についての研究を主に行った。交換関係に基づくQCD和則を導出する新しい枠組みを構築し、既存の和則が再導出できることを示すとともに、今までの手法では得られなかった新しい和則を与え、その新しい和則の簡単な現象論的応用を行った。従来のQCDにおける和則は、カレント相関関数の分散式と摂動論的な演算子積展開(ダイアグラム的な手法)を用いて導出され、その演算形式による基礎付けが明らかではなかった。本研究では、以下の4つの事柄に基づく枠組みから、演算子積展開により与えられていたQCD和則が、演算子形式から確かに導出できることを示した。1)量子多体系におけるThomas-Reiche-Kuhnの和則と呼ばれる和則の場の量子論的系への拡張。2)九後-小嶋氏によるゲージ場の量子論のハミルトニアン形式。3)場の量子論へ拡張したことで現れる紫外発散の繰り込み。4)Bjorken-Johnson-Lowらによる交換関係の計算方法。さらに、より広い枠組みを構築することにより、既存の手法では考察されていなかったモーメントを持つ和則が得られることを明らかにし、その簡単な現象論的応用として、ローメソンの新しい質量公式を導出した。この質量公式では、従来のようにvacuum saturation hypothesisを持ちいる必要がなくより少ない仮定のもとで議論することができ、グルーオン凝縮を用いて種々のメソンの質量を書き下すことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に記載したように真空中の和則について研究を行った。特にメソンと結合するカレントに着目することで、新しい質量公式を議論をすることが出来た。研究自体の進展は十分満足のいくものであり、予定を達成することができたが、結果を論文として出版するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画で記載した通りに、有限媒質中での和則についての研究を進める。また、研究と並行して論文の出版も精力的に行う予定である。
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Research Products
(5 results)