2013 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭アメリカのシティズンシップ教育の研究――社会諸集団の多様性に注目して
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12J08307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斉藤 仁一朗 東北大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シティズンシップ教育 / 社会科 / カリキュラム / 社会階層 / 人種観 |
Research Abstract |
平成25年度は、1. 20世紀初頭のアメリカにおける主要な社会科教育者(トマス・J・ジョーンズ)のカリキュラム観の分析、2. 20世紀初頭の主要な団体報告書分析 3. 日米における社会科教育史研究の先行研究における特徴の整理・類型化、の三点の研究を進め、それぞれの成果を発表や論文として発信した。 第一に、トマス・J・ジョーンズの社会科教育カリキュラムの分析については、ジョーンズの人種観と教育観の関係性に注目することで、従来のジョーンズのカリキュラム観の再評価を図った。この研究成果に関しては、全国社会科教育学会における『社会科研究』第80号に掲載が決定し、現在印刷中である。 第二に、119世紀末~20世紀初頭の主要な団体報告書分析に関しては、各報告書のカリキュラムの特徴が、そこで想定される生徒の実態や社会階層の変容によって説明できることを明らかにした。これらの研究成果は、日本公民教育学会において学会発表を行った。この発表内容は、『東北大学大学院教育学研究科紀要』に論文が掲載された。 第三に、日米における社会科教育史研究の先行研究における特徴の整理・類型化に関しては、日米の社会科教育史研究の研究目的・研究方法およびその動向を踏まえた整理を行った。これらの研究成果に関しては、全国社会科教育学会とシティズンシップ教育国際会議において発表した。 また、2014年の1~2月に米国のニューヨーク州ニューヨーク市、ペンシルベニア州フィラデルフィア市に行き、研究に必要な文献収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、20世紀初頭のアメリカにおける主要な社会科教育者のカリキュラム観の再評価や、主要団体報告書のカリキュラム観の再評価を図るなど、具体的な再解釈を進めてきた。その一方で、日米の社会科教育史研究の動向整理を行うことで、これまで二年間で行ってきた独自の解釈を全体の動向に位置づけることができた。これらの研究結果を踏まえれば、平成26年度には、これまでの研究蓄積を博士論文にまとめることができる可能性が高い。 このような研究内容を、3ヵ年の研究計画の二年目に果たせたことからも、全体の研究計画および「研究の目的」の達成に向けて、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における今後の推進方策としては、主に二点が挙げられる。 第一に、平成25年度までに掲載された計7本の論文を中核としつつ、20世紀初頭のアメリカにおけるシティズンシップ教育のカリキュラムの変容過程を明らかにする。これらの研究結果は、平成26年度の後半に提出予定の博士論文にまとめて行く予定である。 第二に、これまでにまとめた研究成果をもとに、米国における主要学会での学会発表を試みていく。この発表を行う学会としては、History of Educational Societyを想定している。 なお、これらの研究を行う際には、米国における学会参加および学会発表の機会と並行して、現地での史料収集を進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)