2013 Fiscal Year Annual Research Report
高感度X線観測によるブラックホールと銀河の共進化の解明
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12J08368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩野 浩一 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / 高エネルギー宇宙物理 / 半導体検出器 |
Research Abstract |
高感度硬X線観測を実現するためのASTRO-H衛星搭載硬X線撮像検出器(HXI)の試験に携わると同時に、ブラックホールから周辺環境へのフィードバックプロセスに関わる天体解析を進めた。 衛星搭載品と同じ設計のHXI主検出器の実験データをもとに検出器内の物理パラメータを決定する方法を確立し、HXI主検出器の応答関数を構築した。 HXI主検出器をアクティブシールドと組み合わせ、高圧電源や電源供給から読み出しシステムに至るまで衛星搭載品と同等のシステムを用いて、性能評価試験を行った。アクティブシールドと組み合わせても性能の悪化はなく、軌道上での高感度実現に重要なバックグランド除去機能が動作することを確認した。 衛星に搭載されるHXI主検出器で使用されるSi素子、CdTe素子の基礎性能測定及び選別を行った。選び出した素子を用いたHXI主検出器は、解析スレッショルドが5keV以下という要求性能をみたしており、スペクトル、イメージング性能も今までの試作品と同等以上の性能を満たすことが確認できた。この検出器は衛星搭載品のアクティブシールドと組み合わされ、2台で構成されるHXIのうち1台が完成した。 昨年度に続き、Chandra衛星による銀河団内の電波銀河の観測データを解析した。結果、銀河団の中心からずれた位置に最も活動の活発な電波銀河が存在していることが明らかになった。また電波銀河のジェットにより銀河団のガスが暖められていることがわかり、ジェットによる衝撃波で加熱されたことを示唆している。結果は論文に纏める予定である。 Durham大学のChris Done教授と共に、モンテカルロシミュレーションを用いてブラックホールからの超高速アウトフローの解析を行っている。この解析によってアウトフローの幾何学的な構造を含む物理パラメータに制限が与えられた。結果を来年度の国際会議で発表し、論文に纏める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HXIの開発は概ね予定通りに進んでいる。天体のデータ解析も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
ASTRO-H衛星の打ち上げが研究期間に間に合わないので、ASTRO-H衛星を使わずに研究を行う。今後は、今まで多くの時間を割いてきたHXIの開発ではなく、モンテカルロシミュレーションを用いたアウトフローの研究を中心に行う。
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Research Products
(1 results)