2012 Fiscal Year Annual Research Report
超並列計算環境向けプログラミング言語の基盤となる実行時システムの研究
Project/Area Number |
12J08391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 潤 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プログラミング / タスク並列処理 / 情報工学 |
Research Abstract |
本年度の主な研究内容は, 高並列環境向けタスク並列処理系の高性能な実行時システムを構築する要素技術となる, タスクのスケジューリング手法に関しての検討である. 近年の並列計算機は複数の計算ノードをインターコネクトによって接続した分散メモリ環境として構成されているため, タスク並列処理系の実行時システムにはハードウェア構成やアプリケーションの特徴に配慮してデータ配置やタスクのスケジューリングを行い, オーバーヘッドの大きいノード間通信の量を抑えることが求められる. 本研究では, これを達成するため, タスク並列処理におけるスケジューリング戦略をプログラマがカスタマイズすることを可能にする機能を実行時システムに追加する手法を提案している. 提案手法では, タスク並列処理の代表的なスケジューリング手法であるLazy Task Creationをスケジューリング戦略の骨子として用い, カスタマイズにかかる負担を抑えるために, カスタマイズ可能な範囲を, アイドル状態のハードウェアが他から実行可能なタスクを奪うことで負荷分散をとる, ワークスチーリングの際の戦略に限定している. 提案手法においては, プログラマは(1)各タスクにワークスチーリングの際のヒントとして用いる任意のデータを割り当てる機能(2)奪うことが可能なタスクに割り当てられているヒントを読み取る機能(3)得られたヒントをもとにワークスチーリングを実際に試行する機能, の3つを利用して, ワークスチーリングの戦略を実装することでスケジューリングのカスタマイズを行う. さらに, 共有メモリ環境を用いた提案手法の予備評価として, 密行列積と配列の繰り返し加算の2種類のベンチマークにアプリケーションの特徴に配慮したカスタマイズを行い, それぞれのベンチマークにおいて実行性能の向上がみられることを確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タスク並列処理によって記述されたアプリケーションを効率的に実行する手法として, ワークスチーリングの方針をカスタマイズすることに着目した手法を提案し, 単純なアプリケーションを用いてその有効性を検証できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 実アプリケーションを利用した提案手法の有効性の検証や, より抽象度が高く容易に利用できるカスタマイズ手法についての検討を行うことを主な研究内容とする. さらに, 共同研究者によって進められているMassiveThreadsと大域アドレス空間との統合の成果と連携して, 分散環境における評価を行う予定である.
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Research Products
(3 results)