2012 Fiscal Year Annual Research Report
大学における教員の省察に関する授業研究-コースデザインに着目して-
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12J08412
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大山 牧子 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 教員の省察 / 大学教育 / コースデザイン / 授業研究 / 支援ツール |
Research Abstract |
本研究では,大学教員が複合的な省察を行い,コースデザインを改善するための支援環境の在り方について提言することを目的としている. 近年わが国の大学では,新たな授業形態が展開される一方で,教員は教育に関する訓練を受けてきていない現状がある.そのような中で,教員が自律的に教育改善を行うには,教員が自らの教育を振り返る,省察的実践者(Schon1983)になるための複合的な支援が必要であると考えられる.そこで,大学教員の省察について様々な水準で検討するために,大学における授業研究の議論を理論的に展開することに加えて,実践知を構築する手立てを明らかにすることが重要であると考えられる.このことから,研究者がフィールドに入って研究を行うアクション・リサーチの手法が有効であると考えられる. 本研究では,大学教員の省察の複合性として具体的に以下の3点を明らかにする.(1)カリキュラム改善に向けたコースとカリキュラムの省察の有機的な連携の在り方(2)新任教員の省察観点やコース自体の変容.(3)コースデザインと学生の学習のダイナミズム. 以上3つの研究に関して,今年度は主に省察に関する理論的枠組の知見を得ることができた.加えて,それらを多角度から検討するために大学の授業を対象とした個別のケーススタディに取り組んできた.具体的にはアクション・リサーチのアプローチを用いて調査を行い,データを取得して,分析を進めている.アクション・リサーチからは,各水準において教員が振り返るべき時期・内容・環境が明らかになってきた.各ケーススタディについて今年度得られた知見は,それぞれ以下のように成果発表を行ってきた(1)大学教育研究フォーラム(2)大学教育学会発表(3)日本教育工学会論文誌投稿・日本教育工学会全国大会発表・EAPRIL発表
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究目的に対して,主に理論的枠組を構築し,それを多角度から検討するために個別のケーススタディに取り組んできた.具体的にはアクション・リサーチのアプローチを用いて調査を行い,分析するためのデータを取得して,分析を進めており,学会等で発表してきている.このことから,概ね順調に進展していると言えるだろう.しかしながら,未だそれらの成果を論文として十分に刊行できていないことからそれ以上の評価には及ばない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,理論を精緻化すると共にケーススタディの詳細な分析を行う.分析を進める上で,教員の省察情報を取得するためには,学生の学習を踏まえることが不可欠であることが明らかになってきた.このことから,分析を進める中で,学生の学習を踏まえた教員の省察を分析することが必要となってきたため,学生の学習を可視化させるためにコンセプトマップを用いた実践フィールドを追加する. なおこれらの結果は,日本教育工学会・教育システム情報学会等に投稿予定である.
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Research Products
(7 results)