2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能イメージングスペクトロスコピーの実現に向けた新しい信号処理回路の開発
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12J08449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
織田 忠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ASIC / ガンマ線 / スペクトロスコピー / CMOS / APD |
Research Abstract |
本研究の目的である高分解能イメージングスペクトロスコピーの実現に向けた新しい信号処理回路を実現するための動的閾値を用いた信号処理回路の研究を行った。従来の固定閾値ではなく入力信号に合わせた動的閾値を用いて、従来では実現できていなかった放射線エネルギーと時間幅間の良好な線形性を持つ時間幅信号処理法を実装した特定用途向け集積回路(Application Specified Integrated Circuit, ASIC)の開発および、そのプロトタイプへSICによるガンマ線計測システムの構築を行った。このASICの設計の際に、hspiceを用いた各回路ブロックの設計を行い、その後全体のシミュレーションを行った。その後、自らCADENCE社のCADソフトVIRTUOSOを使ってASICのレイアウトも行った。その際にTSMC社の0.25μmのCMOSプロセスを用いて設計し、製造はTSMC社に発注した。出来上がったASICの性能評価とそのASICを使って12×12ピクセルの浜松フォトニクス社製APDアレーを用いたガンマ線測定実験を行い、その結果をアメリカのアナハイムで行われたIEEE NSS MICの学会で発表しStudent Paper Awardで4位を得た。このASICは本研究の目的である高分解イメージングスペクトロスコピー実現のためのエネルギー対時間幅の線形性の実現及び回路の小規模化を実現している。その後、作成したプロトタイプASICの設計情報と測定情報をもとにして、最終バージョンのASICの設計を行った。最終バージョンのASICはプロトタイプに比べてより詳細なノイズに対する最適化を行い、ワンチップのチャネル数も64チャネルと多くし、外部から調整が効くようにより柔軟性を上げるように設計した。このASICを用いてより膨大なチャネル数を持つイメージングシステムの構築を行う。また、そのためのプリント基板の設計を終え、データ取得システムの構築も行っている。研究計画表で記述したスケジュール通りに順調に研究が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、ASICの設計、実装を行い、APDを用いたガンマ線測定実験等を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究実績に記述した最終バージョンのASICを用いた、本格的な大規模高分解能イメージングスペクトロスコピーシステムの構築を行う。また、イメージングとしてはPETだけではなくコンプトンカメラの応用も可能であるのでそちらの実現も視野に入れながら研究を行っていく予定である。
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