2012 Fiscal Year Annual Research Report
局在プラズモン共鳴を利用する有機薄膜太陽電池の開発
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12J08469
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尤 静 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | プラズモン / 銀ナノ粒子 / ポリチオフェン / フラーレン / 太陽電池 |
Research Abstract |
本年度は、金属微粒子のプラズモンの効果を定量的に検討するために、クエン酸で保護された直径7mと64nmの銀ナノ粒子の作製を行った。基板に固定した銀ナノ粒子の光学特性を検討し、銀ナノ粒子をポリチオフェン(電子供与体)-フラーレン(受容体)系に導入した光電極の光電変換特性を検討した。その結果、64nmの銀ナノ粒子は7nmの場合より光電変換の増強効果が大きいことが明らかとなった。さらに、その銀ナノ粒子をポリチオフェン薄膜に導入し、ポリチオフェン分子の蛍光寿命への影響を検討した。その結果、銀ナノ粒子表面のポリチオフェン分子の蛍光減衰速度が加速されることが明らかとなった。サイズの異なる銀ナノ粒子のプラズモン特性を比較するため、離散双極子近似という方法で銀ナノ粒子の光学効率(消失・散乱・吸収)と近接場増強のシミュレーションを行った。64nmの銀ナノ粒子は、7mものより強いプラズモン共鳴の効果があることがわかった。これらの成果を2013年の福岡での国際学会で発表し、論文も準備した。 さらに、逆型ポチオフェンーフラーレン太陽電池を作ることを計画した。銀ナノ粒子は、耐熱性が弱いので、まずは、銀ナノ粒子-酸化チタン系のコアシェル型銀ナノ粒子の作製を行った。その結果、150度まで加熱しても、粒子の形状は保持された。その粒子を酸化チタン層に導入し、逆型ポチオフェンーフラーレン太陽電池を作製し、光電変換特性を測定した。銀ナノ粒子のプラズモン共鳴効果で光電変換効率の増強効果が見られた。これらの成果はベルギーでの国際会議で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年4月から8月まで、学位論文を準備し、卒業ためのいろいろな事項をやったので、学会と論文の投稿が遅れた。投稿論文は現在作成中である。コアシェル型銀微粒子の合成に成功した。太陽電池への導入に要求される熱安定性を検討するとともに、太陽電池の最適化に向けた実験を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画通りに進んでいる。銀と金のナノ粒子について、密度や粒径を変えて検討することにより、プラズモン電場の効果がポリチオフェン-フラーレン有機膜の光電変換へ及ぼす影響が明確化されてゆくと期待される。そのために、理論計算によるシミュレーションも行い、プラズモン電場の分布や強度について、理論と実験の両面から検証を進めてゆく計画である。成果は論文として公表する計画である。
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Research Products
(2 results)