2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J08491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 和樹 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ランダムウォーク / マルコフ / 大偏差原理 / パーコレーション |
Research Abstract |
Hattori and Hattoriの論文では、整数上とシェルピンスキーガスケット上の自己相互作用をもつランダムウォークの一変数族が定義されている。これは自己回避ランダムウォークと単純ランダムウォークをある種の指数の意味で連続につなぐという意味で重要である。筆者は、整数上の場合について、それがある領域から脱出するまでに通った点の個数について、領域を大きくするときのスケール極限の存在を示した。また、極限測度の正則性について、もとのランダムウォークがマルコフ型のとき、極限測度はルベーグ測度に対して絶対連続であり、また、もとのランダムウォークがマルコフ型でないとき、極限測度はルベーグ測度に対して特異であることを示した。また、特異の場合にはその度合いもわかった。また、ここでの考え方を押し進めて、ある種のド・ラームの関数方程式の解の正則性について調べた。具体的には、その解を分布関数とする区間上の測度が、ルベーグ測度に対して絶対連続か特異かを考察した。 また、ランダムウォークがある時間までの訪問点の個数(レンジ)について調べた。ランダムウォークレンジの研究の多くは、整数格子のような均質性が強いグラフに対して行われてきた。それに対し筆者は、必ずしも均質でないグラフ上の単純ランダムウォークのレンジについて研究した。具体的には、ゆるやかな均質性をみたすグラフ上のレンジのある種の大数の弱法則を示した。また、この均質性の下では、それがある意味でベストであることを示した。 Drewitz, Rath, Sapozhnikovのプレプリントで、長距離相関をもちうるパーコレーションモデルが定義されている。このモデルは、最も基本的なパーコレーションモデルであるベルヌーイ・パーコレーションだけでなく、ランダム・インターレースメントなどの重要なモデルを含んでいる。筆者は、その上のランダムウォークについての大偏差原理(稀な事象の発生確率の減衰の速さの記述)を、ほとんど全てのパーコレーションの状態に対し示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極限測度の正則性について進展があった。もとのランダムウォークがマルコフ型か否かに対応して、極限測度はルベーグ測度について絶対連続、または特異であることがわかった。更に、絶対連続の場合はラドン・ニコディム導関数が求まった。特異の場合はその度合いもわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
自己相互作用をもつランダムウォークの局所時間の分析を行いたい。それにより、関数型中心極限定理と多変数結合型の大数の強法則を得たい。また、ランダムウォークの反発の強さに応じて拡散速度が速くなることを示したい。また、パーコレーションなどの均質でないグラフ上での自己相互作用をもつランダムウォークについても同様のことを調べたい。
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