2012 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントル最下部条件までのマントル鉱物の原子拡散の決定と粘性プロファイルの構築
Project/Area Number |
12J08500
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
下宿 彰 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 下部マントル / ペロフスカイト / 拡散 / 粘性 / 焼結ダイヤモンドアンビル |
Research Abstract |
今年度の研究実績として,まず岡山大学地球物質科学研究センター設置の6軸型高圧発生装置(6-UHP)と焼結ダイヤモンドアンビルを用いて、室温における圧力校正実験を完了した。圧力校正物質には,GaP(22.5万気圧で相転移)とCoO(15万気圧と49万気圧で相転移),Fe_2O_3(60万気圧で相転移)を使用した。60万気圧を発生するのに、必要な油圧は270トン程度であることを突き止めた。また高輝度光科学研究センター(SPring-8)設置の川井型高圧発生装置と焼結ダイヤモンドアンビルを用いて,高温(1300℃)における圧力校正実験を完了させた。高温高圧下で試料に加わっている圧力は,SPring-8の放射光X線を使用し試料に少量加えた金の状態方程式に基づいて算出した。高温下での圧力発生効率は、室温における圧力発生効率の80%程度であるという結果を得た。これらの圧力校正曲線に基づき,6軸型高圧発生装置の油圧から試料に加わっている圧力の推定が可能になった。 また川井型高圧発生装置と超硬アンビルを使用し,サンカルロス産の斜方輝石から拡散実験の出発物質であるシリケイトペロフスカイトの合成を行った。合成したペロフスカイトの試料表面を研磨し,表面に拡散源となる^<29>Siに富むSiO_2薄膜の蒸着を真空蒸着装置を用いて行った。蒸着を終えたペロフスカイトを出発物質にして,6-UHPと焼結ダイヤモンドアンビルを使用し50万気圧、1700℃の実験条件を目標に珪素の拡散実験を行った。しかし,現状では加圧中や加熱中に試料の吹き出し(ブローアウト)が発生し,拡散係数のデータを得ることが出来ていない。高圧実験の試料部構成の改良や,ガスケットサイズの変更等の最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に完了させる予定であった圧力校正実験を完了させることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
6軸型高圧発生装置と焼結ダイヤモンドアンビルを使用し50万気圧、1700℃の実験条件を目標にペロフスカイト中の珪素の拡散実験を行ったが,加圧中や加熱中に試料の吹き出しが発生している。対応策として,ガスケットサイズを現状よりもやや大きくしてみるか,または予備加熱の温度条件を変えて今後実験を行ってみる予定である。また、下部マントルのアナログ物質として、フォルステライトとペリクレースを選択し、これらの原子拡散実験と塑性変形実験を系統的に行い、鉱物中の原子拡散と塑性変形との関連性を議論する予定である。
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