2013 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントル最下部条件までのマントル鉱物の原子拡散の決定と粘性プロファイルの構築
Project/Area Number |
12J08500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下宿 彰 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 下部マントル / ペロフスカイト / 拡散 / 粘性 / 焼結ダイヤモンドアンビル |
Research Abstract |
下部マントルの主要構成物質であるシリケイトペロフスカイトやフェロペリクレース中の原子の拡散速度を下部マントルの最下部条件下まで実験的に決定し、その結果から沈む込むスラブや上昇するプリュームを含むマントルにおける粘性プロファイルを構築することを目的とし研究を行った。今年度は特にシリケイトペロフスカイト中のケイ素の拡散係を, 50から70万気圧, 1700℃の圧力温度条件下で決定することを目標に研究を遂行した。高圧発生装置は、6軸型高圧発生装置(6-UHP)を使用し、アンビル材には焼結ダイヤモンドアンビルを使用した。試料に加わっている圧力は、初年度に作成した圧力校正曲線に基づき6-UHPの油圧から推定した。圧力媒体にはCrをドープしたMgOを使用し, 電極にはレニウムを使用した。ヒーター材にはLaCrO_3を使用し、ヒーターの中心部に熱電対を配置し温度を測定した。出発物質には、^<29>Siに富むSiO_2薄膜を蒸着したシリケイトペロフスカイトを用いた。6-UHPを用いて拡散実験を行ったが、現状では加圧中や加熱中に試料の吹き出し(ブローアウト)が発生してしまい、目的の圧力温度条件下において拡散アニーリングを行えていない。そこで高圧実験の試料部構成の改良や、ガスケットサイズの変更等の最適化を行っている。また、実験と併行しこれまでの研究成果の論文執筆作業を行い、今年度は第一著者論文として計3本の論文が国際誌に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目までにシリケイトペロフスカイト中のケイ素の拡散実験を終了させる予定であったが、終了させることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
シリケイトペロフスカイト中のケイ素の拡散については、圧力や温度条件を低く設定し(40万気圧、1600℃程度)、まずはデータを得ることを先決に実験を行う。また本申請課題は、原子拡散係数に基づき塑性変形速度の推定を行う予定であるが、ケイ酸塩鉱物ではこの前提が成り立つかどうかに疑問がある。 そこで、上部マントルの主要構成物質で大気圧下でも安定に存在するオリビンについて原子拡散、電気伝導度、粒成長、塑性変形速度のデータを取得し、点欠陥モデルに基づき原子拡散と塑性変形速度の関係を系統的に調べる研究に取り組む予定である。
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Research Products
(5 results)