2012 Fiscal Year Annual Research Report
クロック同期全光フリップ・フロップを用いたデジタル光集積回路
Project/Area Number |
12J08524
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
財津 優 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 光集積回路 / 偏波多重方式 / 偏波変換器 / 光導波路素子 |
Research Abstract |
本研究では,偏波多重光通信用PICの実現にむけ,他光素子と容易に集積できる偏波変換器(Polarization converter : PC)を提案し,素子を試作して動作実証を行った.提案したPCは導波路の片側がリッジ型,逆側がハイメサ型をした非対称構造(ハーフリッジ構造)を有する.本構造は通常InP系光集積回路と非常によく整合するため,従来の問題点であった導波路の結合損失を低減でき,容易に集積できる素子となっている.数値計算により,PC長さ180umで97%のTE/TM変換率が得られ,挿入損失は0.4dBとなることを確認した.この素子を試作し,リッジ側のコア厚さがおよそ0.20umのハーフリッジ構造を作製することに成功した.また本素子のもうひとつの特徴である斜め蒸着法を用いたセルフアラインプロセスによって,精密な位置合わせを必要としない簡単な作製プロセスで本素子が作製できることを実証した.作製した素子を測定し,幅1.1um,長さ150umの素子で98%のT£/TM変換率を達成し,またPC長さに対して偏波がTE->円偏波->TMと理論通りに推移していることを実験的に確認した.また素子のチップ内損失は測定誤差を含め1.0dB以下であり,低損失であることを実証した.得られた実験値は数値計算による結果とよく一致した. 以上の成果を電子情報通信学会ソサイエティ大会(2012年9月,富山大学)における依頼講演,同会光エレクトロニクス(OPE)研究会,および国際学会Optical Fiber Communication(OFC2013)にて発表を行った.特に,OPE研究会での発表が評価され,同会学生優秀研究賞を受賞した.また,光通信分野において高いインパクトファクター(3.71, Optics分野で第2位)を持つ論文誌Optics Expressへ受理・掲載された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の今年度の成果目標として,学術会議での発表を国内2件,海外1件程度想定しており,これを達成するための研究成果を出し,目標どおりの発表を行うことができた.また,本研究の属する分野で権威を持つ論文誌に成果を掲載することができた.さらに,国内学会発表において優秀論文賞を受賞することができ,当初の予定以上の成果を上げることができたといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果で,素子単体の実証を十分に行うことができ,一定の成果を上げることができた.これを踏まえ,今後は本研究で提案する偏波変換器が実際に光集積回路に適用できることを示すために,能動素子である半導体レーザとのモノリシック集積を実証する予定である.また,より実用性の高い素子の実現をめざし,作製誤差に対して素子特性の変動が少ない構造を新たに提案する.そして,従来の化合物半導体の変調器の原理を適用し,偏波変調機能の可能性についても検討を行っていく.
|