2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08537
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梁 正樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | CP対称性の破れ / 繰り込み群方程式 / フレーバー非保存過程 |
Research Abstract |
超対称模型は一般にフレーバーやCPを破る相互作用を多く持ち、それらの効果が標準模型では予言されない物理過程として現れることが予期される。特に、超対称粒子がLarge Hadron Collider(LHC)で直接観測出来ないほど重い場合でも、標準模型の相互作用からのずれとして、その効果が間接的に観測できることがある。その一つに、 ヒッグスと標準模型粒子との間の相互作用(湯川相互作用)があり、フレーバーやCPの破れが発生することがこれまで議論されてきた。そのような場合、CPを破るクォーク4点の演算子が発生し、CPを破る物理に対して感度がある電気双極子モーメント(EDM)に影響することが考えられる。中性子EDMはその中で特に重要で、この観測的制限がクォークの電気双極子モーメントに制限を与えている。しかし、これらの制限の理論的評価にはQCDの摂動的および非摂動的評価が伴い、不定性が大きい。 今回の研究では、この中性子EDMのQCD補正に対し、これまで考えられていなかったクォーク4点の演算子からの寄与を含めた次元6までのCPを破る有効演算子のウィルソン係数について、繰り込み群方程式を導いた。これにより、超対称模型のようなNew physicsに対して、より精密な中性子EDMの評価が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒッグス粒子に関しては論文を1本執筆することが出来たが、レプトンフレーバーに関しては、研究があまり進行していない。大きな理由の一つとしては、博士論文の執筆と発表、再提出に、今年度後半の5ヶ月ほどを要したためである。しかし、博士論文においてレプトンフレーバーや電気双極子モーメントの最近の研究調査も兼ねることが出来たので、今後の研究に寄与すると考えている。 昨年度は受託学生として名古屋大学に在籍していたが、今年度は東京大学の素粒子論研究室で研究を行って行く。
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Strategy for Future Research Activity |
東京大学ではレプトジェネシスの研究も活発になされているので、研究室のメンバーと議論を進めながら、積極的に研究を行ってゆく。
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