2012 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル対称性の部分的回復の定量評価を目的としたパイオンの深い束縛状態の精密測定
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12J08538
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西 隆博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パイ中間子原子 / RIBF/BigRIPS / 分散整合 / ハドロン物理学 |
Research Abstract |
まず、本研究の実験状況を簡単に説明する。標的に250MeV/uの重陽子を入射し、(d,3He)反応を起こす。反応で出てきた粒子はRIBFのスペクトロメータであるBigRIPsを通り、焦点面まで到達する。その粒子に対し、シンチレータで識別し、MWDCで軌跡の測定を行う。分散整合が完全に実現していれば、基本的に焦点面の位置のみから反応のQ値を求めることができるので、それをもとに解析を行う(K.Itahashi et al., RIBF Proposal RIBF-027(2006))。 2012年度に行った研究活動は、主に以下の3点である。 (i)加速器を使ったマシンスタディ (ii)2010年度に行ったパイロット実験の解析 (iii)次回実験に向けた準備 2012年度は、まず4月に(i)加速器を使ったマシンスタディを行った。このマシンスタディは主に私が主導で行った。マシンスタディの目的は本研究の為に開発された新しいイオン輸送系の焦点面でのアクセプタンス及びディスパージョンの測定であった。また、イオン輸送系のさらなる開発として、6重極磁石を使ったイオン輸送系のテストも行った。このマシンスタディの結果については、日本物理学会第67回秋季学会12pSL-11「(d,3He)反応を用いたπ中間子原子の精密分光:Be(Ol8,014)反応を用いたマシンスタディ」などで報告している。 (ii)については、2011年度までに検出器の解析を行い、粒子の同定及びMWDCの信号からの粒子の軌跡の再構成を行った。さらにそこから運動量スペクトルを導出し、2010年の実験においてパイオンの深い束縛状態の観測に成功していることを確認している。2012年度はさらにマシンスタディの結果などを踏まえ2011年に得られた運動量スペクトルの精緻な較正を行った。また、エネルギー較正用のピークに補正を加えるためにコンピュータシミュレーションを行い、比較をすることで較正の精度を向上させた。 (iii)については、前回実験で用いたプラスチックシンチレータを改良したものを新たに作成した。さらに前回の実験では標的上での焦点の調整が非常に難しかったため、調整手順を新たに考案し、その実現可能性を見積もった。これらの改善点などについては日本物理学会第68回春季学会27aHC-13「(d,3He)反応を用いたπ中間子原子の精密分光(8)」で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パイロット実験の解析は順調に進んでおり、今年度中には論文にまとめられる見通しである。また、パイロット実験で得られたデータを下に本実験でのセットアップの改良店などもまとまっており、本実験へ向けた準備も順調である。本実験は今年度末には行われる予定で、問題なく実験が遂行されると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針は(i)パイロット実験の結果を論文として発表する(ii)今年度末の実験へ向けた準備を行う。の二点である。特に(ii)については、パイロット実験をもとに考案された複数の改良点について実現可能性も含め考察し、準備を行う。既に新たに検出器(segmented scintilator)を作成しており、この検出器の性能評価及び前回まで用いていた検出器のオペレーションの最適化なども合わせて行う。
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Research Products
(4 results)