2013 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル対称性の部分的回復の定量評価を目的としたパイオンの深い束縛状態の精密測定
Project/Area Number |
12J08538
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西 隆博 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | パイ中間子原子 / RIBF/BigRIPS / 分散整合 / ハドロン物理学 / カイラル対称性 |
Research Abstract |
まず、本実験について簡単に説明する。標的に250MeV/uの重陽子を入射し、(d, 3He)反応を起こす。反応で出てきた粒子はRIBFのスペクトロメータであるBigRIPSを通り、焦点面まで到達する。その粒子に対し、シンチレータで識別し、MWDCで軌跡の測定を行う。分散整合が完全に実現していれば、基本的に焦点面の位置のみから反応のQ値を求めることができるので、それをもとに解析を行う(K. Itahashi et al., RIBF Proposal RIBF-027 (2006))。 2013年度に行ったのは主に以下の三点である。(i)2010年に行われたパイロット実験の解析(ii)実験proposalの再提出(iii)2014年に行う予定の実験の準備。 まず(i)については、転送行列の高次項の再評価を行った。また、短子がBigRIPSを通る際にビームにぶつかり削られる効果の見積もりを新たな手法をもちいって行った。これらによってより精度の高い^3Heの運動量spectrumの生成に成功した。現在は運動量のcalibrationの評価のためのsimulationと実験データを比較し、最終スペクトルを導出しているところである。 (ii)については、2013年度9月に理化学研究所より過去理研で行うことを認められたビームタイムを一旦白紙とし、再評価を行う旨を通達された。これに従い2010年の実験データをもとにしたproposalを作成し、これまで認められていたビームタイム(~6日)を大幅に上回る10.5日のビームタイムを獲得した。これは昨今の理研において非常に厳しい予算状況の中でも我々の実験の重要性が十分に理解された結果だといえる。 (iii)(ii)によりビームタイムがあらためて認められ、1月のマシンタイム委員会により2014年5月末より実験を行うこととなった。現在は検出器の整備や実験手順の確認、あらたな光学系の調整法の確立、Data取得システムの改善などを行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パイロット実験の結果については解析がほぼ終了しており、今年度中に論文にまとめる予定である。 また本実験が2014年度に正式にスケジュールされており、そのための準備も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
パイロット実験の結果をまとめて論文として投稿し、また本年度に行われる実験の解析をおこなう
|
Research Products
(7 results)