2014 Fiscal Year Annual Research Report
揺らぎ入りの相対論的流体力学の構築とクォークグルーオンプラズマの輸送的性質の解明
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12J08554
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村瀬 功一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高エネルギー重イオン衝突 / 相対論的流体模型 / 流体力学的揺らぎ / クォーク・グルーオン・プラズマ / 高次方位角異方性 / イベント毎の揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、相対論的流体力学の散逸に対応して発生する熱揺らぎである流体力学的揺らぎに注目し、高エネルギー重イオン衝突実験からクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)の性質を引き出す事を目的としている。その為に、A「相対論的な系での流体力学的揺らぎの性質」、B「流体力学的揺らぎの数値計算コードの適切な実装」、C「流体力学的揺らぎと実験の測定量の関係の解明」の3つに分けて研究を進めてきた。今年度は、特に B と、最終段階である C について発展があった。 B1. 流体力学的揺らぎを含む流体力学の枠組みに粗視化スケールを明示的に導入する必要性と、対応して適切な計算セルの大きさを設定する必要性がある事が分かった。 B2. 平衡状態における流体力学的揺らぎの数値計算を通して、重イオン衝突の長さスケール・温度スケールでは揺らぎの非線形効果が強く、流体の内部エネルギーが運動エネルギーに転化する事で温度・圧力が見かけ上低下する事が判明した。これは、流体方程式で用いる"状態方程式"に補正が必要になる事を意味する。 C1. 金原子核同士の非中心衝突について初期条件の揺らぎのないイベント毎の大規模計算を実行・解析した。結果、流体力学的揺らぎの効果として (1) 最終的なハドロンの数が増加する事、 (2) 有限の高次方位角異方性 v_n が得られる事が判明した。これは従来の QGP の粘性評価に比べて実際の粘性が高い事を示唆する。 C2. 実際の衝突反応に即した、初期条件の揺らぎも含めたイベント毎の大規模計算を実行した。結果として (1) 系が小さい方がハドロンのスペクトルに大きな揺らぎの影響がある事が分かった。(2) 非中心衝突では衝突初期の幾何的要因による楕円形の流れ v_2 があるが、v_2 に対する揺らぎの効果はこの幾何的要因のない中心衝突で相対的に大きくなる事が分かった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)