2013 Fiscal Year Annual Research Report
南部アフリカ農村部の生計維持と発展における「都市」の役割に関する比較・統合研究
Project/Area Number |
12J08558
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 千尋 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 南部アフリカ / 農村-都市関係 / 中小都市 / 都市化 / 生計システム / 流動性 / ザンビア / ジンバブウェ |
Research Abstract |
本研究は、ザンビアとジンバブウェにおいて、農村部の生計維持において都市部との関係が果たす役割について明らかにし、農村と都市との間にみられる流動性を考慮した地域発展の在り方について検討することを目的としている。そのなかで、特に大都市ではなく中小都市の発達プロセスが近郊農村の生計システムに与える変化について注目している。 平成25年度は、ジンバブウェ共和国における2回の現地調査を行った。昨年度に研究体制が整ったこともあり、今年度は現地に2度渡航し、聞き取り調査や資料収集をスムーズに進めることができた。1回目の渡航では、調査地のマションランドウェスト州に位置する都市カリバにおいて中小都市の発達プロセスに関する調査を行った。特にこの地域の主要産業である水産業に注目し、カペンタと呼ばれる小魚の漁を行う事業主や漁師に聞き取り調査を行った。聞き取り調査からは、周辺農村部からの人口流入も確認でき、農村と中小都市との密接な社会・経済的関係が示唆された。また、調査中は、同国の大統領・議会選挙が行われていたため、関連する新聞や資料の収集も行った。 2回目の渡航では、引き続きカリバにおいて、都市の発達プロセスに関する調査を行った。同時に、周辺の農村部を訪問し、農村部における農業や土地利用の現状について調査を行った。首都では客員研究員として所属するジンバブウェ大学開発学研究所において公開セミナーを行い、研究の進捗状況について報告し、現地の関連研究者との意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ジンバブウェでの本調査がおおむね計画どおりに進展し、調査地カリバの都市形成に関する資料や質的データを得ることができた。また、ジンバブウェにおける公開セミナーで研究の進捗状況について発表した結果、現地の研究者との議論が深まり、今後の展開に示唆に富むものとなった。また、ザンビア農村部における生計システムと都市との関わりについての調査結果をまとめた論文が印刷中であり、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、25年度に得られたジンバブウェでの調査結果を論文としてまとめ、これまでの総括を行う予定である。但し、現在のジンバブウェの都市の動向が、同国の政治・経済の動向に大きく影響を受けているため、政情次第では、論文の成果の時期を延期しなければならない場合が想定される。そのため、現地の研究者とも内容や時期を検討しながら、論文の執筆に進めていきたい。
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Research Products
(5 results)