2014 Fiscal Year Annual Research Report
大環状二核遷移金属錯体をホスト成分に用いる超分子の合成と動的機能
Project/Area Number |
12J08562
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土戸 良高 東京工業大学, 資源化学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 構造有機化学 / ホストゲスト化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ホストゲスト包接体の形成を動的に制御できる新規超分子化合物の開発を目指し,有機金属化合物の酸化還元を利用する計画を立てた.具体的には,正対する2つのメタロセン部位をスペーサー(4,6-bis(2-hydroxyphenyl)pyrimidine)で連結した構造をもつ環状分子を設計した. 一年目および二年目の研究において,多段階の有機合成によって低収率ながら有環状機分子を単離に成功している.さらに本研究のスペーサーが外部刺激(F-)によって容易に配向変化できることを見出し,これを応用した研究(分子ピンセット及び分子ギア)も発展させた. 三年目の研究では,大環状分子の収率向上を目指し,種々の環化反応を検討した.特に白金(II)アセチリド形成反応を用いることで環状化合物を高収率で回収できたが,メタロセン化には至らなかった.一方,上述で得られた知見を活かし,分子ギアの研究を発展させた.具体的には,1.白金(II)ビスアセチリドでトリプチセン部位を架橋した分子ギア,2.白金アセチリド部位とスペーサーを組み合わせることで4つのトリプチセンが環状に噛み合った構造をもつ分子ギアをそれぞれ合成し,その回転挙動を評価した.さらに,昨年度合成した6つのトリプチセンが噛み合った分子ギアに関して,示差走査熱量測定,固体NMR測定,量子化学計算を用いて解析を行い,従来は困難であった歯車の回転運動に関する詳細なデータを求めることに成功した. 本研究を総括すると,当初の研究計画にある有機金属化合物の酸化還元特性を活かした超分子構造の動的な制御には至らなかったが,研究の過程で発見した刺激応答性をもつ有機分子(スペーサー)や合成容易な白金アセチリド骨格を活用し,これまでにない動的挙動を示す超分子を得ることができた.本研究の知見は,生体分子に匹敵するような高度な機能をもつ分子機械を作製する上での基礎となるものだと考えられる.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)