2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08576
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川地 輝明 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 尾形成 / 神経管 / 幹細胞 / 間充織上皮転換 |
Research Abstract |
研究計画書において、初年度ある昨年は尾部神経管の前駆体であるSecondaryNeurulation(以下はSN)前駆細胞の幹細胞性についての検証を試みた。最初に申請書に記載した尾芽の交換移植実験を応用し、さらに移植する細胞数を減らして1細胞レベルの高精度での解析を行った。その結果、先の実験と同様に神経管形成に参加し、また一方で一部はtailbudに未分化な状態で残る様子が観察された。現在、この手法を用いた複数回の継代移植実験を行っている。 次に、SN前駆細胞の分裂や細胞の形態変化の様子を観察するため、コンフォーカル顕微鏡によるライブイメージング法を確立した。SN前駆細胞の分裂の様子を解析するため、SN前駆細胞予定領域に核移行EGFPを用いて、尾芽形成後のSN前駆細胞を経時的に観察した。その結果、SN前駆細胞集団の辺縁部位周辺で活発に細胞分裂をしている様子が観察された。また、細胞の形態および移動について細胞膜移行型EGFPを用いて観察した。その結果、尾芽の後方側に位置する未分化なSN前駆細胞は非常に活発に移動しており、またさまざまな方向に枝状仮足を伸展したが、より頭部側の神経管周辺の細胞では、尾芽の末端で見られたような活発な移動や仮足の伸長は見られなかった。初年度の成果として、SN前駆細胞特異的なライブイメージング技術の基礎が完成した。現在は、より高精細なイメージングを行うため、ニコンA1共焦点レーザー顕微鏡を用いて、細胞分裂の頻度や分裂軸を統計的に解析している。また細胞の移動を追跡し、未分化なSN前駆細胞が神経管に分化するまでを詳細に解析する。さらに、申請書の段階でSox2がSN前駆細胞の神経管化因子である可能性を見出しているため、EGFPとSox2を共発現させたSN前駆細胞のライブイメージングを行い、EGFPを単独で発現させたSN前駆細胞の挙動と比較解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SN前駆細胞の1細胞レベルでの同所移植実験に成功した。移植された細胞は、SN前駆細胞を集団で移植した時と同様に尾部の神経管形成に参加し、かつ一部はtail budに未分化な状態で維持されるという結果が得られた。また、SN前駆細胞特異的なライブイメージング技術を確立した。これにより、SN前駆細胞の分裂や移動などの細胞挙動を詳細に観察することが可能となり、実際にSN前駆細胞の細胞分裂の様子と細胞の移動の様子を観察した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、SN前駆細胞特異的なライブイメージング法を主体にして、Secondary Neurulationが起こる際の細胞挙動をより精細に解析する。さらに、尾形成との関連性が指摘されているシグナル因子(BMP,Wnt,FGFなど)の影響を、EGFPとの供発現によって解析する。これまで遺伝子の供発現の際には、Tet-on/offシステムを用いてきたが、この方法ではエレクトロポレーション法による導入効率の低下、及び遺伝子発現までの時間が問題となり確立したライブイメージング法には適さない。そこで、より高効率な供発現系としてFoot and mouth disease virus由来2A配列による供発現実験を計画している。
|
Research Products
(1 results)