2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08576
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川地 輝明 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経管形成 / 尾部形成 / 体軸伸長 / 間充織上皮転換 / 初期発生 |
Research Abstract |
昨年度は学会等の外部でのディスカッションにおいて指摘されていた、SN前駆細胞の幹細胞生のより詳細な解析のための移植および観察手法の開発に取り組んだ。まず移植法について説明する。これまでの細胞集団を移植する方法では定量性を一定に保つことが難しく自己複製能の検証がほとんど不可能に近かった。そのため、タンパク質分解酵素を用いた単一SN前駆細胞の単離移植法を開発した。膜移行EGFPと核移行mCherryによって標識SN前駆細胞を含むtailbudを摘出し、酵素処理によって乖離させ、単一SN前駆細胞を単離して、recipientのtail budに移植した結果、移植細胞はrecipientのtail bud内で細胞分裂を繰り返しながら、神経管形成に参加する様子が観察された。次に観察法について説明する。単一SN前駆細胞の確立によって、この細胞の分裂周期が約6~8時間周期であることがみえてきた。しかし、これまでに用いていた胚体をガラスボトムディッシュに移す観察法では、健康状態を保ちつつ発生を観察できる時間が最大で8時間程度と短く、細胞の増殖や分化の全体を捉えることが困難であった。そこで、ニワトリ胚を卵内に残したままで長時間生存させる方法を開発し、正立コンフォーカル顕微鏡と組み合わせることで、最大で約40時間まで胚体の健康状態を維持したままライブイメージング解析を行うことが可能となった。この技術にさらに我々の研究室で開発されたTet-on systemによる時間的な遺伝子発現制御技術を組み合わせて、分化制御メカニズムと細胞挙動の制御メカニズムの解明に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を進めるなかで、一昨年度に開発した移植やイメージング技術の精度では目的の解析には不十分であることが明らかになったが、新たに移植法や胚の培養法を確立したことでそれらの問題の多くが回避できた。現在は、これらの技術を用いて転写因子Sox2の細胞挙動に与える影響を中心に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階で、転写因子Sox2の発現がSN前駆細胞の分化に深く関与することが示唆されている。また、頭部や体幹部の神経系についての記載はこれまでに数多くなされているが、尾側組織における神経系組織の詳細な記載や挙動の解析はほとんどなされていない。今後は、昨年までに開発した移植技術やイメージング技術を用いて、Sox2の発現の推移に伴う細胞挙動の詳細な解析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)