2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08689
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
西城 理志 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単結晶太陽電池 / ナノ粒子 / プラズモン現象 / バイオナノプロセス / 色素増感太陽電池 |
Research Abstract |
単結晶シリコン太陽電池の作製プロセスを立ち上げ、一定効率の単結晶シリコン太陽電池の作製に成功した。これにより単結晶シリコン太陽電池に対して、ナノ粒子を表面上に配置した場合の実験が可能になった。その上で、単結晶シリコン上でプラズモン現象による特定波長の光吸収が確認されるかの実験を行った。その結果、金ナノ粒子をそのまま配置しただけでは、単結晶シリコン基板上では、プラズモン効果による光吸収が観測されないことが分かった。この問題を改善するために、単結晶シリコン基板上にSiO_2膜を堆積したサンプルに金ナノ粒子を配置したところ、プラズモン効果による光吸収が確認された。従ってプラズモン効果による光吸収を導電体上で起こすためには、誘電体層が必要であると予測された。この結果から、金ナノ粒子を絶縁体であるSiO_2で被膜した粒子を作製した。SiO_2で被膜した粒子を単結晶シリコン基板上に配置することで、単結晶シリコン基板上においても、プラズモン現象による光吸収が観測された。これにより周囲の環境に左右されない形で、プラズモン現象による光吸収が可能なナノ粒子が作製されたと言える。更にこのナノ粒子を、本研究室に有る既存の技術であるバイオナノプロセスと呼ばれる、ナノ粒子を選択的な位置に吸着可能なプロセスを適用することで、Tiに対して選択的にSiO2で被膜した金ナノ粒子を吸着させることを可能にした。これによりデバイスの狙った部分で、プラズモン効果を発現できる。 これらの技術を利用して、単結晶シリコンの表面にSiO_2で被膜した金ナノ粒子を配置し発電効率測定を行った。結果はプラズモン効果の吸収波長において効率が下がる結果となり、プラズモン吸収が効果的に変換効率に還元されていないことがわかった。これに関しては、現在改善策を講じている。更に色素増感太陽電池に対して、同様の金ナノ粒子を導入したところ、プラズモン効果の光吸収波長付近で効率が若干上昇した。この結果が確かかどうか、現在追試及び検証を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスに対して、プラズモン効果を導入するプロセスは確立出来ており、更にプラズモン効果を導入する対象となるデバイス作製技術に関しても確立しているため、順調に進展していると言える。しかし実際にデバイスに導入した場合の効率上昇に関しては十分に確認されていないため、次年度はこれに注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ粒子導入プロセスに関しては、ある程度確立出来たので、本年度は実際に太陽電池に導入する研究を行う。単結晶シリコン太陽電池に関して、プラズモン効果による光吸収が効率に還元されていない件に関しては、被膜したSiO_2の膜厚が厚いことと、キャリア励起が起こりにくい場所であることが考えられる。従ってSiO_2の薄膜化と、よりキャリア励起が発生しやすいと考えられる、PN接合の界面に対してナノ粒子を配置することを計画している。 またメカニズムを検証するために、シミュレーションによる検証も行う予定である。
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Research Products
(3 results)