2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
NGUYEN Minhdung 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 音圧 / MEMS / ピエゾ抵抗型カンチレバー / ギャップのスケール効果 / 高感度 |
Research Abstract |
本年度は研究目標のうち,音圧を計測するためのピエゾ抵抗型カンチレバー(小型片持ち梁)のMEMS(微小電気機械システム)圧力差センサの感度を向上する課題に取り組んだ.本研究では,カンチレバーの周りに存在している隙間のスケール効果について調べた.結果として,隙間を小さくすることにより,音圧に対するカンチレバーの感度を向上できることが分かった.カンチレバーの周りの隙間のスケール効果を調べるために,ピエゾ抵抗型カンチレバーを小型の空気室の上に配置した構造を用いた.隙間が狭くなればなるほど,空気室から空気が漏れにくくなり,空気室の内圧が維持できるようになるので,一定の圧力に対してカンチレバーの変形が大きくなると考えられる.実際に試作したカンチレバーの大きさは125pm×100pmで,厚さは300nmとなっている.100Hzから20kHzの周波数の音圧に対して,隙間を小さくすることで,センサの感度を10倍向上できることが分かった. この研究結果は,APCOT2012国際学会(The 6th Asia-Pacific Conference on Transducers and Micro/Nano Teclmologies)で発表し,MEMS2013(IEEE 26th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)の論文集に投稿し,高く評価された.また,隙間のスケール効果を利用した,カンチレバーの隙間に液体で封止することで,さらに高い周波数の音波(MHzのレンジ)を高感度に計測できる音響センサに関する研究を行い,その研究成果をTransducers2013の国際学会で発表する予定である.以上の研究成果を取りまとめ,東京大学の承認を得て特許を合計6件申請した. 今後の予定として,確立した高感度のピエゾ抵抗型カンチレバーを用いて屋内位置測定の実験を行う.実際の屋内位置測定実験において,正確に測定するために,発信器の配置,又は各発信器が発する超音波の信号を調整・検討し,最適なネットワークを構築する.最終的に屋内位置測定システムを実現し,システムの性能を評価する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・超音波を計測する課題の一つは,空気中において超音波の音圧が非常に減衰しやすいので,長い距離で計測するために,感度の高い音圧検知素子が必要である,1年目に行った研究は,MEMS技術を利用して非常に感度の高い(分解能が0.1Pa以下)晋圧検知素子(ヒエゾ抵抗型カンチレバー)を提案することが出来たので,通常の屋内の環境においても高感度で計測可能である.また,液体を使用して,カンチレバーの隙間を埋めることにより,計測できる超音波のレンジをMHzのレンジまで広げることが出来るので,様々な方向に発展可能であると考えられる.全体的に,おおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針: ・実験室の天井に市販の超音波の発信器を取り付け,屋内の超音波発信器のネットワークを構築する. ・1年目により製作された音響センサをを携帯デバイスのモデルとして利用する. ・製作したデバイスにより屋内位置測定の実験を行う.実際の屋内位置測定実験において,正確に測定するために,発信器の配置,又は各発信器が発する超音波の信号を調整・検討し,最適なネットワークを構築する. ・屋内位置測定システムを実現し,システムの性能を評価する. ・さらに蓄積したセンサやシステムの設計・製作に必要な考察や技術を,より一般化した形へと整理を行い,広範囲な位置測定システムの構築に適用できる情報としてまとめてあげることを目指す.
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Research Products
(10 results)