2013 Fiscal Year Annual Research Report
身体情報フィードバックを用いた人の起立運動改善システムの構築
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12J08702
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安 琪 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 起立動作 / リハビリテーション / 最小可知差異 / バイオフィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の高齢者の割合は20%を超え,高齢社会に突入している.高齢者の身体機能の低下は高齢者自身の生活の質の低下を招き,社会問題となっている.この状況を改善するため,申請者はヒトの起立動作に着目してきた.ヒトの起立動作は日常生活動作で起点となる動作であり,その動作を支援することは重要である.運動の支援を行うには足りない力を補助するだけでなく,高齢者や支援される人が自己効力感(自分が目標を達成することができるという感覚)を持つことが大切である.従来この自己効力感は医療の現場などで医療従事者によって経験的に与えられてきたため,個人の経験に依ることが多い.これに対し,本研究ではロボット技術を用いて,高齢者の状況を計測し,状況に応じてアシスト装置を動作せることで,目標とする運動を徐々に難しいものに変化させ,心理的な障壁を克服し,身体機能の拡張を行うものとする.
人が自己効力感を得るためには,自身が持つ心理的な障壁を克服して運動することが大切である.そのためには,運動を行っている際に自分が直面している問題が難しいと感じることなく,問題を達成させる必要がある.本研究では最小可知差異に着目した.最小可知差異はヒトが気づくことができる最小の変化量で,この範囲内で徐々に身体運動を拡張することで,心理的障壁を克服できる.本提案システムを実現するためには,本研究では特に起立動作において重要な座位での前屈動作を対象に股関節の最小不可知差異の測定と算出を行った.特に人の知覚特性を考慮した上で,3つの異なる条件下(能動運動,受動低速,受動高速)における最小可知差異を調査した. 高齢者と健常者を比較したときに高齢者では受動的に動かされかつ高速に動作をする際に有意に最小不可知差異が上昇し,自身の身体位置を知覚できる割合が低下することが明らかとなった.本研究の知見をもとにアシスト装置の参照軌道を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とする起立動作支援システムの設計のためのパラメータ同定を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者の身体機能の低下には様々な原因があり,心理的障壁に加えて,筋力の衰えが挙げられる.しかしヒトの身体に付着する筋は関節の数に対して冗長で,どのようにして筋活動を制御しているのか解明されていない.しかしヒトは様々な椅子からも立ち上がることができ,その適応的な運動生成のメカニズムを知ることは起立支援に必要不可欠である.次年度以降では,このような筋のメカニズムを解明する.
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