2012 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツの社会経済政策と欧州雇用戦略-2002年以降の改革の分析から
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12J08709
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 尚子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヨーロッパ化 / ドイツ / EU / アクティベーション / 社会経済政策 / 労働市場改革 |
Research Abstract |
本研究は、その中心的なテーマとして、ドイツの社会経済政策(主に労働市場改革や年金改革)、ヨーロッパ化(EUから加盟国への影響や加盟国による「EUの利用」のみならず、加盟国からEUへのアップロード、加盟国のヨーロッパ政策も含む)、労働市場におけるアクティベーション(労働市場および労働力の活性化)概念を検討している。ここではEU-加盟国間関係が検証されるが、その相互関係を社会経済政策分野において検討する背景には、同分野が―現在、欧州危機のなかで変革が模索されているものの―加盟国による選択余地が認められる分野であったため、EUにおける決定やそのプロセスと実際の加盟国での実践との相互作用が十分に検討されてこなかった点がある。また、近年の研究動向を射程に入れて考える際、EU加盟各国の潮流に見られるアクティベーションへの収斂とその一方での多様性も重要な観点となる。 このような視角のもと、報告者は研究実施計画に照らして、とりわけ労働市場改革における政策決定プロセスの分析に注力するとともに、それを多角的に見る意図からアクティベーション概念(「資本主義の多様性」から派生する「アクティベーションの多様性」が議論される)最新の研究動向を概観していった。そうした成果を踏まえて、報告者は日独共同大学院プログラムを利用してドイツにおけるセミナーで「ドイツの社会経済政策とEU空間における雇用戦略」と題した研究成果の報告を行い、日独の研究者から博士論文執筆を含めた今後の研究の示唆を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究上重要な位置を占める「アクティベーション」を主たるテーマとした第一線の研究者の集まる国際ワークショップに参加できたことにより、研究計画の順序とは多少異なるものの、順調に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の全体像に関しては当初の通り。ただし、研究の性質上、なるべく多くのドイツおよびブリュッセルにおけるインタビューを必要とするが、健康上の理由によりそれが現在困難であるため、研究計画のうち先行研究の精査を重点化することにより研究の遅滞を防ぐ。
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