2013 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツの社会経済政策と欧州雇用戦略-2002年以降の改革の分析から
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12J08709
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 尚子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アクティベーション / 社会経済政策 / 労働市場政策 / ドイツ政治 / EU政治 / ヨーロッパ化 |
Research Abstract |
本研究は、中心的なテーマとして、ドイツの社会経済政策(おもに雇用をとりまく諸政策)を据えている。また、その際のキーワードとして、過去約20年超に及ぶEUでの雇用戦略の展開を加味すると、ヨーロッパ化(EUから加盟国への影響や加盟国による「EU利用」のみならず、加盟国からEUへのアップロード、加盟国のヨーロッパ政策も含む)は、その有無も含めて重要な観点となる。加えて、近年の当該分野の研究動向を射程に入れて考える際、EU加盟各国の潮流に見られる社会経済政策分野、おもに労働市場におけるアクティベーション(労働市場および労働力の活性化)への収斂とその一方での多様性も重要な観点となる。 平成25年度には、報告者は研究計画に照らし、アクティベーション政策の展開に関する研究動向を具に追うとともに、分析枠組みの検討に取り掛かった。アクティベーション政策の展開に関しては、平成26年2月に渡独し、当該分野の第一線の研究者と意見交換をして、博士論文執筆の上での鋭い知見を得た。とりわけEUおよび加盟国における雇用政策に関する複数の多面的な研究プロジェクトを有している大学の諸研究者との意見交換は有意義なものであった。また、分析枠組みについても、Vivien Schmidtらの研究に着目し、新制度論の枠組みから本研究に適合的な研究を見出し、理論の展開を精密に検証しているところである。 そうした成果を踏まえて、報告者は平成26年度にアクティベーション政策に関する研究報告を何らかの形で成果を明らかにするつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究そのものに関していえば基本的にはおおむね順調に進展しているものの、体調不良などにより研究成果の発信とそれによる研究の刷新が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の全体像に関しては当初の通り。ただし、研究の性質上、なるべく多くのドイツおよびブリュッセルにおけるインタビューを必要とするが、健康上の理由により長期間にわたる滞在が現在困難そうであるため、研究計画のうち先行研究の精査と理論的枠組みの検討を重点化することにより研究の遅滞を防ぐ。
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