2013 Fiscal Year Annual Research Report
有用物質・エネルギー生産を志向した微生物代謝の電気化学的制御
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12J08844
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 翔一 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電気化学 / 遺伝子発現制御 / 生体内酸化還元バランス |
Research Abstract |
1年目で得られた知見をふまえて、今年度は、光合成細菌の代謝・遺伝子の電気化学的手法による制御を試みた。具体的には、従属光合成細菌Rhoropdseusomonas, 独立光合成細菌Cyanobacteriaの異なる代謝モードを持つ2つの菌を対象に研究を行った。電子伝導性メディエーターを添加した系において、設定する電位に応じて生体内からの電子引抜き、電子注入が確認され、細胞外電子移動系の構築が確認された。さらに、細胞外電子移動によって誘起された生体内酸化還元バランスの変化に伴い、光合成関連タンパク質の発現変化が観測された。光合成関連タンパク質の発現変化は、電子伝導性メディエーターを添加しなかった場合には観測されなかったことから、細胞外電子移動が、遺伝子発現を誘起していることが明らかとなった。このように、光合成微生物においても、人為的に電子メディエーターを添加し、細胞外電子伝達系を構築することで、微生物代謝の電気化学的制御が実現された。本研究で確立した手法をRhoropdseusomonas系に適用することで、電気化学的な二酸化炭素固定能の向上が実現された。適切に電位を制御した条件下においては、二酸化炭素固定能が1.3~1.5倍に増加することが確認された。また、Cyaniobacteria系においては、生体時計リズムを外部からの電気化学的操作により制御することに成功した。 また、生体分子を用いたORR/OER触媒の開発も平行して行った。キノン分子や金属ポルフィリンといった生体分子のもつ触媒能を非水系で発現させることを念頭に、その電極触媒能の評価を行った結果、ベンゾキノン・コバルトポルフィリンが、それぞれ非水系で効果的なORR/OER触媒として機能することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としていた光合成細菌に対して、本研究において開発した遺伝子発現制御の電気化学的手法を適用することにより、実際に遺伝子発現の制御に成功した。また、cyanobacteriaにおいても概日リズムの制御にも成功した。この結果から、本研究は計画通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究で開発した手法を、物質生産の観点でより魅力的な反応系への適用を検討する。また、併せて、生体系の高い触媒活性を利用した人工系の開発を併せて進める予定である。
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Research Products
(6 results)