2013 Fiscal Year Annual Research Report
間文化的相互行為の研究--国際養子を中心とする家族形成移民と共生の問題
Project/Area Number |
12J08887
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芝 真里 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 家族形成移民 / 国際養子縁組 / 国際養子自助組織 / アイデンティティ / マイノリティ / 媒介者 / 多文化主義 / 共生社会 |
Research Abstract |
本研究では、「家族形成移民」たちを「共生社会」実現への主体的な媒介者として位置づけ、「共生」へのポジティブな展望を導出することを目的とする。そこでは移民を受け入れる社会において頻繁に主張される「多文化主義に基づく異文化理解」と「共生への実践」との関係について改めて検討する。そして本研究では、国際養子を中心とする「家族形成移民」に着目する。その際、これまでのマジョリティによる主導やマイノリティによる挑戦の諸相を取り上げるのではなく、さまざまな「実践」のなかで、国際養子たちがマジョリティとマイノリティとの間を媒介しうる存在である側面に光を当てる。まず、自己のうちに「他者性」を見出しつつ「他者性との境界線上にいる」という彼らの立ち位置を確認し、さらに彼らのアイデンティティの再定義が、誰と、どのような相互行為のもとでなされるのかについて明らかにする。そして次に、国際養子たちが自己の再定義を行う過程で、パーソナル・ローカル・ナショナル・トランスナショナルに、しかもマジョリティや他のマイノリティとも連帯していく様相を捉えつつ、主に彼らの形成する自助組織および関係する支援組織に着目して、彼らの存在が与えうる「共生社会の実現」への展望を探る。本年度は、前年度の調査で得られた知見を参照しつつ、アジアからの主な国際養子送出国である韓国や中国が、国際養子たちに対して見出している可能性について、また送出国であり受入国となる可能性を持つ日本が、国際養子という存在をどのように位置付けているのか、実証的に捉えることを目標とした。まず対象としたのは、韓国養子自助組織の世界的ネットワークに属する人々、そして彼らの活動を支える人々や公・私的団体である。さらに韓国養子自助組織が後発的存在である中国養子たちに及ぼしている影響を検討した。また東日本大震災後、日本に寄せられた孤児に対する言説についても検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)