2013 Fiscal Year Annual Research Report
酵素-高分子電解質複合体を利用する腫瘍信号のパターン認識系構築とがん診断への応用
Project/Area Number |
12J08921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨田 峻介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 酵素 / 高分子電解質 / バイオセンシング / ケモメトリクス / タンパク質 / 細胞 / 血清 |
Research Abstract |
酵素-高分子電解質複合体ライブラリをマイクロプレート内に集積させたセンサーアレイを構築し、これを用いる簡易かつ迅速ながん診断を実現することを目的として研究を遂行した。本年度は、まず前年度に開発した「酵素の構造多様性を利用して構築したセンサーアレイ」を高機能化するために、複合体ライブラリに対して人工の構造多様性を新たに導入した。続いて、がん診断のモデル系として、高性能化したセンサーアレイによる細胞および血清の判別を試みた。 (1)官能基の性質や分子量などが異なるカチオン性高分子電解質5種類を調製した。得られた高分子電解質をアニオン性のβ-ガラクトシダーゼと複合体化することで、人工の構造多様性を導入した複合体ライブラリを作製した。このライブラリを加えたセンサーアレイに、5μg/mLの血漿タンパク質5種類を添加したところ、各タンパク質に対する酵素活性変化パターンが得られた。線形判別分析法によってパターンを解析した結果、100%の精度でタンパク質の種類を判別できることが明らかになった。さらに、同センサーアレイを用いることで、物性がほとんど同一のアルブミンホモログ4種類(5μg/mL)の判別も実現した。 (2)「高分子電解質の人工の構造多様性」と「酵素の天然の構造多様性」を組み合わせることで6種類の複合体を調製し、それらを集積したセンサーアレイを構築した。このセンサーアレイを用いて、複雑なタンパク質組成を有する生体サンプルの判別を試みた。その結果、(i)ヒト肺由来の線維芽細胞(MHLFとWI38)とがん細胞(A549)、および(ii)異なる哺乳類由来の血清5種類の判別に成功した。 これらの成果は、患者から抽出した生体サンプルをセンサーアレイで分析すれば、がんが診断可能であることを示唆するため、センサーアレイによるがん診断法を確立するうえで重要な一歩であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(10 results)