2012 Fiscal Year Annual Research Report
マグネターとX線パルサーとをつなぐ特異な強磁場中性子星連星の探査
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12J09013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹野 理 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子星 / 磁場強度 / 衛星開発 |
Research Abstract |
24年度の研究では、本研究テーマである特異な磁場強度を持つ中性子の探査を、磁場強度の直接的な測定方法から進め、さらに候補天体の系統的な解析からの新しい磁場の測定方法の確立をおこなった。 直接的な磁場の測定では、2012年の11月に大増光したGRO J1008-57を緊急観測したデータの解析から、これまでに測定された中で最も強い磁場強度の観測に成功し、現在論文の準備をおこなっている。この結果から、これまでにマグネターと通常の強磁場中性子星との間の磁場強度をもつものが、観測技術によるものである可能性が示唆され、本研究を進めることで発見できる見込みが大きくなった。 直接的な測定を補完するために、本研究テーマの候補となる天体の解析を行った。候補の一つであり、研究の目的でも調べる対象に挙げていた超巨星と中性子星との連星系の研究を進め、さらにもう一つの候補である、長いパルス周期を持つ中性子星連星の研究も進めた。それら二つの候補をX線スペクトルの観点から、高いエネルギーまでX線を強い強度で出しているという共通点を見つけることに成功した。このことから特異な強磁場を持つ中性子星連星が、ひじょうに広いエネルギーで高強度のX線を出しているという描像を提示した。この成果をインドで開催された国際会議で口頭発表を行った。 さらに次期宇宙X線衛星ASTRO-Hの開発に参加し、本研究テーマを調べるための装置の開発にも積極的に行った。その中で私が受け持ったアクティブシールドの開発で行ったシンチレータの研究で得られた成果を査読付きの論文として提出し、受理をされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度に「すざく」衛星によって観測したGRO J1008-57のデータから、これまで測定された中でもっとも強い磁場強度の測定に成功した。この観測から本研究のテーマであるマグネターと通常の強磁場中性子星との間の磁場強度を持つ特異な中性子星が、観測技術による問題で発見できていない可能性が高まった。またその中性子星に近い種族の天体を系統的に調べることで、新しい磁場強度の測定法の確立を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
「すざく」衛星を使った特異な強磁場の中性子星を探すために、新しくかつ精度の良い磁場強度の測定方法を確立することを目指しているが、去年度の解析ではまだ調べた数が十分ではなかったので、本年度は解析数を増やすことでより確かな磁場強度の測定方法の確立をする。
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Research Products
(3 results)