2013 Fiscal Year Annual Research Report
マグネターとX線パルサーとをつなぐ特異な強磁場中性子星連星の探査
Project/Area Number |
12J09013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹野 理 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子星 / 磁場強度 |
Research Abstract |
今年度は引き続き極端に強い磁場強度を持つマグネターに準ずる磁場(10^<13> G)をもつ天体の探査をおこなった。去年度に日本のX線衛星「すざく」によって観測された天体のデータ解析を行い、これまで測定された中で最も強磁場(7×10^12G)を持つ天体を発見し、本研究のテーマである10^13Gをもつ天体の存在の可能性がより高まり、研究が大きく進んだ。また典型的には磁場がひじょうに弱いと思われている低質量星と中性子星との連星(LMXB)でも強磁場をもつものがいること可能性を示し、これまでの研究で積み上げてきた磁場強度の推定方法から今まで磁場強度が弱い(~10^<10>G)と思われていた天体が10^<12>G持つことを推定し、実際に磁場強度を精密測定できるサイクロトロン共鳴吸収構造をX線スペクトルから検出し、10^<12> Gの磁場を持ち、これまでの磁場の強さを推定する方法が正しいことを検証することに成功した。この成果は投稿論文として提出し受理された。この結果がさらに他のLMXBにも適用できることがわかったので、現在磁場強度が中性子星の回転やX線スペクトルに与える影響を弱磁場LMXBと強磁場LMXBの二つを比較することで調べ、より精度の良い磁場強度の推定方法の確立を行っている。 現在運用されている衛星のデータ解析を進めるのに並行して、より詳細な磁場強度測定を行える時期X線衛星の開発にも参加し、最終試作品品および衛星搭載品の評価を行い、衛星完成に向けて大きく前進することに貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の結果から、探査の対象である天体よりも少し弱いがこれまでで一番磁場強度をもつ天体が見つかり、さらにこれまでの研究で積み上げてきた磁場強度の推定方法が正しいことが検証されたので、来年度へ向けて見通しがたったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に新しい磁場強度の推定方法が正しいことが検証されたので、今後は主に「すざく」衛星によってこれまでに観測された多くの候補天体に適用し、これまで見つかっていなかった磁場によるサイクロトロン共鳴吸収構造を探査する。また今年度に提案したすざくによる強磁場候補天体の観測が採択されたので、それらにも適用し調べる。これまで結果をまとめ論文として投稿し、本研究を完遂させる。
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Research Products
(3 results)