2012 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ都市のインフォーマル市街地における土地・空間利用システムの実態及びあり方
Project/Area Number |
12J09053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 悠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アフリカ / インフォーマル市街地 / 土地所有 / 都市計画 / ルサカ / ダカール / ナイロビ |
Research Abstract |
アフリカは急激な都市化に直面し、都市人口の大多数を占める低所得層にアフォーダブルな住宅をいかに提供するかが課題となっているが、住宅供給の前提条件であり大きな制約となっているのが土地である。本研究は、アフリカ都市のイン フォーマル市街地における土地・空間利用システムはいかにあるべきかという問題に対して何らかの解を得ようとするものである。今年度はルサカ(ザンビア)、ダカール(セネガル)、ナイロビ(ケニア)を対象に、アフリカの都市空間構造の実態と特質について土地管理システムとの関連性に着目して検証を行った。文献レビューと現地での自治体や関連省庁、有識者等のインタビュー、入手した統計資料や地図の分析を通じて次のことが分かった。 (1)対象3都市はインフォーマル市街地に都市人口の大部分が居住しているという点で共通している。しかし、イン フォーマル市街地の空間的な広がり方は、ルサカでは郊外に比較的低密度に広がっているのに対し、ナイロビでは中心部近くに高密度に局所的に点在している点で異なる(ダカールはルサカとナイロビの中間的な特徴を有す)。 (2)この空間構造の違いは、(1)植民地時代に導入された近代的な土地管理システム、(2)前植民地時代から続く慣習的な土地管理システム、(3)国際的開発枠組みの中で1970年代以降実施されたアップグレーディング政策におけるインフォーマルな土地所有権の正規化スキームが、低所得者の土地へのアクセスパターンに影響を与えることで生じたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はアフリカの都市空間構造と土地管理システムとの関係性について、文献レビューや現地調査により俯瞰的な研究を行い、現地調査で住民にインタビューするなどの詳細な研究調査は行わなかった。その理由としては、指導教官のアドバイスにより詳細な研究の前に大枠の比較研究を行ったこと、文献レビューを重視して予定していたよりも多くの時間を使ったこと、カウンターパートや大学の都合により対象都市を急遽変更せざるを得ずその対応に追われたことなどがある。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は当初予定していなかった対象3都市の俯瞰的な比較研究を実施した。この研究については論文を執筆中であるが、その結果を25年度以降の詳細研究に反映させていく。また、上記の通り、カウンターパートや大学の都合により研究対象を予定していたケープタウンからダカールに変更したので、今後の調査次第では研究の枠組みを変更する必要があるかもしれない。
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