2013 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ都市のインフォーマル市街地における土地・空間利用システムの実態及びあり方
Project/Area Number |
12J09053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶原 悠 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員DCl
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Keywords | インフォーマル市街地 / 土地所有 / 都市計画 / ナイロビ / ルサカ / ダカール |
Research Abstract |
昨年度は主に文献調査と現地で入手した資料の分析によって、インフォーマル市街地の形成過程の通史的な把握とその背景にある関連諸制度や政策等の整理を行った。その結果、土地制度と政府のインフォーマル市街地への態度の違いが低所得者の土地へのアクセスパターンに影響を与え、その結果として、都市空間構造とりわけインフォーマル市街地の分布・開発パターンに大きな特徴をもたらしていることが分かった。今年度はまずこれら昨年度の研究結果を日本都市計画学会に査読付き論文として発表した。 また、先の論文により対象3都市のインフォーマル市街地における土地・空間利用システムの違いと特徴が示唆されたため、以下の仮説を再設定した。 インフォーマル市街地は開発の際の都市計画制度の参照の程度によって市街化の特徴が異なる : ・ナイロビのインフォーマルな開発は参照の程度が高く、擬似制度的な郊外開発としてインフォーマル開発が進展している ・ルサカのインフォーマルな開発は参照の程度が低く、農村的伝統の延長として市街化が進んでいる ・ダカールのインフォーマルな開発は参照の程度は中程度で、植民地期の都市システムを参照している。まず文献調査により都市化や都市計画制度の歴史的展開からこの仮説の妥当性を確認した上で、仮説を検証するために、各都市のインフォーマル市街地をその開発の際の参照の程度の要因(土地開発主体、市街化の程度)によって分類を行い、ケーススタディ場所を抽出した。これに基づき、2014年2月~6月にナイロビとルサカのインフォーマル市街地において、宅地と公共空間の利用と管理の実態を明らかにするために、住民や住民リーダー、自治体、関連省庁、有識者にインタビューを実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はまず昨年度の研究調査の結果を査読付き論文として発表した。この論文はナイロビ、ルサカ、ダカールを対象に土地制度の違いがインフォーマル市街地の分布・開発パターンに大きな特徴をもたらしていることを明らかにした。また、これにより対象3都市のインフォーマルな土地・空間利用システムの違いと特徴が示唆されたため、仮説を再設定してその妥当性を都市化と都市計画制度の歴史的経緯から確認した上で、仮説にもとづいてケーススタディ場所を抽出した。現在、現地調査を実施しており、ほぼ計画通りに研究を進めているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は継続中のナイロビとルサカでの現地調査を完了させて成果を取りまとめるとともに、ダカールでの現地調査を実施する。年度内にこれらすべての調査結果を研究論文としてとりまとめる。
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