2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 俊 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | p進Hodge理論 / 分岐理論 |
Research Abstract |
今年度は、高次元のp進Hodge理論の中で最も取り扱いやすい、非完全な剰余体を持つ完備離散付値体上でのp進Hodge理論の研究を主におこなった。特に次の2つの古典的な結果を一般化した:Laurent Bergerによる、de Rham表現のなす圏から、Frobenius付きp進微分方程式のなす圏への関手N_dRの構成。2つ目はAdriano Marmoraによる、de Rham表現のSwan導手とN_dRのirregularityとの比較定理の証明である。 詳しい結果を以下に述べる。 1つ目の結果では、N_dRをp進微分方程式としてではなく、より強いFrobenius構造付き微分加群(K.Kedlayaの意味で)として構成する。証明は、F.Andreatta-O.BrinonのSenの理論を使い、局所的な貼り合わせとMLazardのp進解析を用いる。 2つ目の結果では、まずdeRham表現のSwan導手を定義する必要があるが、これはA.Abbes-T.Saitoの分岐理論と、以前に得た私自身の完備離散付値体上のp進monodromy定理の証明を用いることで、古典的な場合のSwan導手の定義を非完全な剰余体を持つ場合に拡張できる。N_dRのirregularityはKedlayaの意味での微分Swan導手に置き換える必要がある。そして、比較定理の証明では、異なる標数の分岐を比べる必要がある。そこで、L.Xiaoの正標数を標数0に持ち上げるテクニックを使い、正標数の分岐を標数0に持ち上げ、さらに特殊化することで、標数0の分岐と結びつける。 以上が今年度得た結果である。以上の結果をまとめた論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標である、非完全な剰余体を持つ完備離散付値体の場合における、Bergerの関手の一般化とMarmoraの比較定理の証明ができた点と、さらにその証明において、異なる標数の幾何的対象を結びつけるという、今後の研究に結びつくテクニックが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
より高次元の環に対し、今年度に得られた分岐理論的な視点を交えてp進Hodge理論の研究をする。具体的にはS.Senによるp進表現に付随するLie環とSenの作用の関係の、高次元化を行いたい。具体的には、これまで研究してきた余次元1での局所的な状況から、大域的な性質を導くために、純性のテクニックを使用するアプローチを考えている。
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Research Products
(5 results)