2012 Fiscal Year Annual Research Report
選好の異質性を考慮した制約の少ないヘドニックモデルの構築~新たな環境評価法の開発
Project/Area Number |
12J09136
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 勇人 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Maximum Rank Correlation |
Research Abstract |
ヘドニック法は市場価格関数(ヘドニック価格関数)を推定することから限界的な支払い意思額を推定できるため環境評価などの分野で広く用いられているが、価格関数の関数系に非現実的な強い仮定ををおくと推定結果の信頼性が低くなることも少なくない。従って、価格曲線の推定の際に、置かれている関数形の制約を緩和すべく推定方法の開発を進めている。特に回帰式において、下式のように左辺に未知の単調変換が存在する場合についてである。 F(y)=x'β(ω)+z'γ+ε, これと似たモデルを推定する方法としてShin(2010)のLocal Maximum Rank Correlation Estimatorが提案されているが、変動係数に固定係数であるという制約をかけることができない。そのため真のモデルが固定係数を含んでいる場合には推定の制度が下がる可能性がある。従って私はSieve法によるセミパラメトリック近似とHan(1987)のMaximum Rank Correlation Estimatorを組み合わせたSieve Maximum Rank Correlation Estimatorを開発した。Shin(2010)の推定方法では、F(y)=x'β(ω)+ε,のようにしか推定できなかったが、上式のような成約付き推定も可能となる。この推定量について数値実験及び漸近的性質の考察をおこない論文にまとめ、Asian Meeting of Econometric Society(2012 Delhi)及び関西計量経済学会において発表し参加者から、理論についての重要な提言得た。現在はそれに従って論文を改訂している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
F(y)=x'β(ω)+z'Y+ε,で表されるモデルを推定する方法は開発でき、かなり広い範囲のモデルに適用可能であることは数値実験により確かめた。しかし理論的証明には若干のギャップが残っていることからやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず上記のモデルの理論的証明を十分に行うことが必要だが、私が推定のために用いる目的関数は全域での凸性を仮定することが難しいためQuasi likelihood法の推定量の証明法に沿って、このモデルの証明を試みる。 また、実証研究も十分に行うべく、現在東日本大震災前後の公示地価データを用いたリスク認識の変化についての研究を行っている。
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Research Products
(3 results)